社説

女川原発1号機/廃炉検討は当然の選択だ

 東日本大震災で停止している女川原発1号機(宮城県女川町、石巻市)について、東北電力が廃炉を検討すると表明した。廃炉となれば、東北電としては初めてとなる。
 1号機の状況を考えれば、当然の選択とも言える。最終的な判断はこれからというが、1号機の「余命」からみて、再稼働に踏み切るのは現実的ではないだろう。
 1号機は1984年6月に営業運転を始め、既に34年が過ぎている。東北電の原発4基の中では最も古く、国内で稼働する39基のうち8番目の古さだ。
 東京電力福島第1原発事故を受けて、原子力規制委員会が定めた新規制基準では、原発の運転期間は原則40年。規制委が認めれば1度だけ最長20年間延長できる。ただ、基準を満たすには、巨額の安全対策費が必要で、ハードルは高い。延長には特別点検もクリアしなければならず、追加投資は避けられない。
 規制委による再稼働審査が進む女川2号機は2013年12月の審査申請から5年近くがたち、想定以上に長期化している。再稼働は20年度以降となる見込みだ。
 東北電は2号機に続き3号機の再稼働に向けても審査申請の準備を進めている。その後に1号機の再稼働を目指したとしても、残された稼働時間は極めて短いと予想される。東北電は1号機が稼働できる期間とコストをはかりに掛け、廃炉検討に入ったとみられる。
 1号機は震災で被災している。タービン建屋地下1階では、高圧電源盤から火災が発生。原子炉建屋の天井クレーンが損傷するなど、経年劣化の問題が浮上していた。出力は52万4000キロワットで、女川原発3基のうち2号機、3号機(ともに82万5000キロワット)より小さく、電力供給面での影響は限られる。
 そうした状況を勘案すれば、廃炉は既定路線だったようにも思える。
 ではなぜ、最終判断を前に廃炉の検討を明らかにしたのか。「2号機再稼働への理解を促す思惑があるのでは」という臆測が出ている。
 2号機再稼働を巡っては、その是非を問う住民投票条例制定を目指す仙台市の市民団体が、県条例制定の直接請求に必要な署名集めを展開している。
 再稼働の地元同意を得る手続きでは現在、立地する女川町と石巻市だけが事前了解の対象だ。だが、再稼働審査に合格した東海第2原発(茨城県東海村)では、周辺自治体の了解も必要となった。東北電と宮城県は女川原発再稼働について、県民の声に耳を傾け、周辺市町の同意も得るよう力を注ぐべきだ。
 仮に1号機廃炉となれば、長い時間と膨大な費用を要する。その負担は住民にも跳ね返ってくるだけに、幅広い理解が得られるよう丁寧な説明が欠かせない。


2018年10月07日日曜日


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