社説

消費税増税対策/政府資産は売却しないのか

 消費税率の引き上げに際して景気への影響を抑えるために、政府・与党がさまざまな景気の下支え策を本格的に検討している。過去の税率引き上げ時には景気悪化が長期化しており、来年10月の引き上げに当たっては、十分な対応策が不可欠だ。
 景気への悪影響を阻止するさまざまな対策と同時に、国民に対して税負担を強いる以上、国会議員の定数削減や報酬の見直しなどとともに、不要な政府資産の売却も考慮に入れるべきだろう。
 現在、政府・与党が景気対策として検討中の具体的な案は、飲食料品や新聞購読料への8%軽減税率の導入、中小小売店や飲食店を対象としたカード決済による2%のポイント還元などだ。
 自治体が発行し、差額の経費を国が負担するプレミアム付き商品券も候補となっている。住宅や自動車など耐久消費財の購入に対しては、商品と交換できる住宅エコポイントの復活、自動車に関しては各種の支援策の導入が検討されている。
 低所得者ほど負担が重い消費税の逆進性を緩和し、増税後の消費の落ち込みを回避するため、何が最も有効な対策か、問題点を洗い出し、議論を尽くしてもらいたい。経済失政は、失業者や自殺者の増加など悲惨な事態を招く危険があることを肝に銘じたい。
 消費税増税に備えたこうした対応策と同時に、議論の対象にしてもらいたい重要なテーマがある。既に死語と化した感もある国会議員の「身を切る改革」である。旧民主党政権の2012年に野田佳彦首相が国会で述べた行政、政治改革である。
 増税の前提として公務員給与の見直し、国会議員の定数削減、議員報酬などの引き下げなどの「身を切る改革」が当時、議論された。しかしその後の経過は見るべき成果がなく、都合よく忘れ去られてしまっている。
 もう一つ、指摘しておきたいのは、諸外国に比べて膨大な額に上る政府が保有する資産の問題だ。財務省のホームページによると、政府は1000兆円を超える負債を抱える一方、700兆円近い資産を保有している。
 このうち、民間企業の株式や独立行政法人に対する出資金などの金融資産は、可能な限り売却すべきだろう。保有株式では、日本政策金融公庫の約5兆円、日本たばこ産業の約2兆4000億円などは政府保有の意味が乏しいという指摘がある。
 現行法上、経営の安定確保などの公共目的で、一定数の政府保有義務が課せられてはいる。しかし、既に政府保有の意義が薄れているとするならば、法改正を急ぎ、売却するのが筋である。
 税率の引き上げを国民にお願いする以上、まずは政府が率先して改革を進める姿勢を示さなければならない。増税の理解を得る大前提である。


2018年10月30日火曜日


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