社説

スポーツ界の統治強化/政治からの独立は守れるか

 スポーツ界で相次ぐ不祥事対策として、超党派の国会議員によるスポーツ議員連盟が設置した有識者会議が今月、提言をまとめ、国による運営指針策定などを打ち出した。
 スポーツ界にとっては、国の関与強化への危機感は強いが、相次ぐ不祥事に効果的な対策を打ち出せていないのも事実。「政治からの独立」を守ろうとするのであれば、国民からの信頼を取り戻せるような取り組みが欠かせない。
 有識者会議がまとめた提言では、国が新たに競技団体の運営指針となる「スポーツ団体ガバナンスコード」を策定。日本オリンピック委員会(JOC)や日本スポーツ協会への加盟条件とするほか、各団体を4年ごとに認証する制度を導入する。認証の審査は日本スポーツ振興センター(JSC)かJOCを想定している。
 有識者会議に対し、JOCなどのスポーツ統括3団体は「国の監督強化は望ましくない」とする意見を出していた。しかし、国による指針策定が打ち出され、これに基づく認証の主体もJOCではなく、文部科学省所管の独立行政法人であるJSCを推す意見が多数だったという。
 日本のスポーツ界には、苦い記憶がある。1980年モスクワ五輪。前年のソ連によるアフガニスタン侵攻を受けて、米国がボイコットを各国に呼び掛け、日本政府も追随。英国、フランスなどは政府の方針を拒み、選手を派遣したが、JOCは政治の圧力に屈する形で不参加を決定した。その後、JOCは日本体育協会(現日本スポーツ協会)から独立した。
 五輪金メダリストでもある鈴木大地スポーツ庁長官も「スポーツ界の自治、独立は守られるべきで、極力、国の関与がない方がいいと思っている」とは話す。
 ただ、現実には、JOCが握っていた競技団体への国からの強化費配分が、既にJSCに移っている。
 JSCは文部科学省所管の独立行政法人だが、新国立競技場建設問題で当事者能力の欠如を批判された経緯もある。果たして、予算も組織の監督も、そうした団体に委ねてしまっていいのか。
 続出している不祥事への対応を巡っては、初めて今月、JOCが競技団体のトップを集めた会議を開き、竹田恒和会長が危機感を訴えた。
 2020年の東京五輪を控え、スポーツへの国民的な関心が高まる中、対応が後手に回っていると言わざるを得ない。
 今回のような問題が起こった時に、JOCなどが素早く自浄能力を示せなかった現状には、国民の失望と不信が募っている。政治からの「スポーツの独立」の重要性を主張しても、言葉だけで守れるものではない。独立を守るには、各団体が幅広く理解と共感を得るための努力、行動が欠かせないはずだ。


2018年11月26日月曜日


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