社説

外国人就労で方針/都市集中防止に具体性欠く

 年明け後の3カ月間で、外国人労働者の受け入れ拡大に向け態勢が整うのだろうか。
 改正入管難民法の成立を受け政府は、制度の方向性を定めた基本方針などを閣議決定した。急ごしらえの印象は拭えず、法律と同様に生煮えの域を出ない。1月の閉会中審査で徹底して議論すべきだ。
 懸念される「外国人の大都市圏への集中」については必要な措置を講じるとしたが、同一業務内での転職を認める以上、賃金の高い都市部に人が集まるのは避けられない。
 地域間格差をどう縮小するのか。説得力のある具体策は見当たらない。業界内の調整や地域ごとの連携強化にも限界がある。自治体に過度の負担を課すことなく国としての支援策を打ち出してほしい。
 技能実習生が劣悪な待遇で働かされていた実態を踏まえ、方針では「日本人と同等以上の報酬額を求める」とした。同一労働同一賃金の原則は当然だ。問題は悪質な雇用主や中間搾取するブローカーを排除することにある。
 2国間の「取り決め」をアジア9カ国と結び公正な就労を目指すというが、どこまで実効性があるかは不透明だ。送り出し国側での業者の暗躍には手が届かないという現実が存在するからだ。
 技能実習制度では、こうした問題が放置され、実習生の大量失踪や不慮の死亡につながった。事実上、実習制度を引き継ぐ新制度に積み残してはならない課題である。
 在留・雇用の管理強化について指針では法務、厚生労働両省の連携、情報共有を促した。法務省が新設する出入国在留管理庁は、入管手続きの際に業者の仲介などをチェックし、労働基準監督署が就労状況の指導を徹底する。その役割分担がようやく見えた。
 そもそも今回の問題では省庁間の連携を欠いていた。法改正する法務省が軸になるとしても、就労や職業紹介は厚労省の縄張り。当初から構想を主導したのは官邸である。政府が一体となり取り組むべきなのは言うまでもない。
 生活支援を中心とした総合的対応策では「共生社会の実現を目指す」とうたう。全国100カ所に一元的な相談窓口を設置。医療や福祉、教育の課題解消に当たる。日常のさまざまな公的サービスでは多言語化を推進するという。
 しかし、126項目に及ぶ施策は目標の羅列にすぎず、総務省が10年以上前にまとめ、自治体に計画策定を求めた指針に沿ったものだ。予算も、環境を整備する自治体への交付金として計20億円が見込まれているにとどまる。
 「外国人は人手不足の調節弁」という意識から依然抜け出せていないのではないか。共生社会の目標をなおざりにすれば、日本を目指した外国人からそっぽを向かれ、失望感を持って帰ってしまうことになる。国の信頼が問われる重大な局面にあることを政府は認識すべきだ。


2018年12月26日水曜日


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