社説

日本版NCAA/大学スポーツ変革の契機だ

 大学スポーツ界を統括する「大学スポーツ協会(UNIVAS)」の設立に向けた動きが進んでいる。全米大学体育協会(NCAA)をお手本に、「日本版NCAA」ともいわれるこの組織は、一般社団法人として来春設立が決まったが、大学スポーツ全般の活性化、変革にどうつなげていくかが問われる。
 中学校には日本中学校体育連盟(日本中体連)、高校には全国高校体育連盟(全国高体連)という統括組織がある。UNIVAS設立を主導するスポーツ庁によると、大学にはこうした統括組織はない。あくまで「課外活動」としての位置づけで、学生主導による競技単位の組織、いわゆる「学連」などが中心。大学の関与もさまざまだ。
 米国は各大学に「体育局」があり、会計などは大学本体とは別の独立採算になっているという。プロ顔負けの施設を有する大学も少なくない。
 大学、競技を横断して統括するNCAAは、1910年から100年以上の歴史を持ち、全米大学2300校中、約1200校が参加。年間約1000億円の収入があるという。一方で、学生に学業との両立を求める共通ルールなどもある。
 日本では、2020年東京五輪・パラリンピック開催決定などを受け、大学スポーツの持つ潜在的な可能性が注目され、文部科学省が検討を進めてきた。日本大学アメリカンフットボール部の悪質反則問題などで、大学スポーツ界のコンプライアンス(規範順守)を問う声も高まり、統括組織設立への追い風となった面もあろう。
 UNIVASは理念として、大学スポーツ振興による「卓越した人材育成」「大学、ブランド強化」「競技力向上」を挙げ、地域・経済・社会への貢献に生かすことを目指す。大学や競技団体と連携し、企業、消費者などとをつなぐ役割を担う。
 具体的には成績管理などの「学業充実」、ハラスメントなどへの相談体制構築などの「安全安心・医科学」、スポンサー制度導入などの「事業・マーケティング」への取り組みを事業の柱としている。
 設立時、200大学、20組織の参加を目指し、来年1月に登録受け付けを始める。設立準備委員会には東北から既に東北大、山形大、東北福祉大、仙台大などが入る。
 もちろん、組織ができたからといって、一朝一夕にさまざまな課題が解決できるわけではない。初年度予算は約20億円という。UNIVASには、大学自治や各競技団体が築いてきた伝統を守りながらも、より学生が活動しやすい環境づくりなどに向けた地道な活動が求められる。
 地域や住民にとっても、各大学が持つスポーツ資源を、人材育成や競技力向上、活性化などの面でこれまで以上に生かすことができるような取り組みを期待したい。


2018年12月28日金曜日


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