社説

庄内の若者定住策/詳細な分析 可能性広げる

 進学や就職で大都市に流出する若い世代をいかに地元に定着させるか。急速な人口減少を背景に、東北各地でそうした議論が活発化している。
 山形県庄内地方では、地元自治体と経済団体、教育機関などが昨年7月に「庄内若者定着推進会議」を設置。若い世代の転出入状況を詳細に分析しながら、独自の定住促進策の立案、展開を目指しており、その活動が注目を集め始めている。
 県によると、庄内地方の15〜39歳人口は2015年には約6万だったが、45年には54.6%減の2万7000まで落ち込む見通し。減少率は全国の28.2%、県全体の47.7%に比べても格段に高い。
 推進会議のまとめでは、庄内地方は村山、最上、置賜の県内各地方のうち最も県内での進学率、就職率が低く、高校卒業時点での県外流出率が高い。その半面、25〜34歳の県外からの転入者数は、県内4地方で唯一、17年まで9年間連続で転出者数を上回っている。
 いったん古里を離れた後にUターンする人やIターンなどによる移住者が増えているとみられ、若者の地元定着には高校卒業時点での県外流出の抑制と、その後のUターン促進の2本立ての対策が必要とされるという。
 大学進学とその後のUターン就職を考える上で興味深いデータがある。荘内銀行系シンクタンク「フィデア総合研究所」(山形市)が、庄内地方の高校を1970年代(76〜78年)と90年代(96〜98年)に卒業した二つのグループで、大学進学後にUターン就職した人の割合を大学別、男女別に比較調査した結果だ。
 大きな変化があったのは、県外の国公立大または難関私大に進学した男性のグループで、Uターン就職率は23.4%から14.0%に低下。県内大学に進学したグループの県内就職率は男性で40.0%から38.5%に微減、女性は50.0%で変わらなかった。
 「優秀な人材ほど地元に残らない」という声は東北各地でよく聞かれる。だが、それは比較的最近強まった傾向であり、不変の法則ではないことを確認しておきたい。
 同じくフィデア総研の調査で、親が庄内での生活に魅力を感じている家庭の子どもほど、地元での進学、就職を希望する傾向が強いとのデータもある。中長期的な視点で魅力ある地域づくりを進め、大人たちが地元での生活を楽しんでいれば、若者の定着にもつながると言えそうだ。
 庄内地方でUターンが増えている要因はまだはっきりしないが、推進会議による分析が進めば、いずれ定住促進への糸口も見えてこよう。
 偏差値エリートを育て、大都市に送り出したいと願う親はもはや多くあるまい。持続可能な地域づくりに向け、行政、企業、学校、住民が対話を重ね、それぞれ役割の見直しを急がなければならない。


2019年02月03日日曜日


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