社説

学校のスマホ解禁/納得できるルールが必要だ

 多くの小中学校で新学期が始まった。大阪府は本年度から公立小中学校で、児童生徒が携帯電話やスマートフォンを校内に持ち込むのを容認した。文部科学省は持ち込みを原則禁止としてきた方針の見直しを検討している。
 時代の流れとはいえ、拙速な解禁は学校現場に混乱を招きかねない。弊害について慎重に議論するべきだろう。地域や学校の実情に即し、学校と保護者、子どもが納得できるルールを作り、徹底することも求められる。
 全国に先駆けてスマホの持ち込みを認めた大阪府教育庁は、その理由について、昨年の大阪府北部地震で子どもと連絡が取れなかった保護者からの強い要望があったためと説明している。
 ただし、校内でのスマホ使用を認めたわけではない。あくまで登下校中の安全・安心が目的で、指針には「校内では電源を切る」という項目を設けた。持ち込み許可は市町村教委や学校が判断し、スマホを子どもに持たせるかどうかは保護者が決める。
 文科省の方針見直しは、こうした動きが影響している。文科省は2009年に出した通知で、小中学校への持ち込みを原則禁止し、高校でも校内での使用を制限するよう求めてきた。だが、災害など緊急時の連絡手段を確保する必要があるほか、09年に比べてスマホが格段に普及した社会的な背景がある。
 17年の内閣府調査では、携帯電話・スマホの所有率は小学生で55.5%、中学生は66.7%。校内への持ち込みを一律に禁止するだけでは済まない時代になりつつある。
 新学習指導要領では、プログラミング教育が小学校で必修化される。タブレット端末などを使った「デジタル教科書」が今月から、全国の学校の授業で使えるようになった。情報通信機器を排除するのではなく、子どもたちが有効な活用法を学ぶことは確かに必要だろう。
 とはいえ、学校へのスマホ持ち込みには、現場では抵抗感が強い。LINE(ライン)などでのいじめや会員制交流サイト(SNS)を通じた犯罪被害、ゲーム依存などを助長しかねない−との声が上がっている。
 実際、持ち込みを禁止している今でも、校内の様子を撮影した動画がネット上で流れるケースなどがある。
 校内でのスマホの保管方法も大きな課題だ。大阪府の場合は、校内ではかばんの中に入れると定め、高価なスマホを子ども自身が管理する。だが、紛失や盗難、授業中の使用などの懸念は拭えず、スマホへの指導で教師の負担がさらに増えかねない。
 学校へのスマホ解禁を前に保護者や子どもが、利点だけでなく、トラブルや危険について正しい理解を共有することが大切だ。文科省は大阪府で浮かんだ課題などを踏まえ、慎重に検討してほしい。


2019年04月13日土曜日


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