社説

氷河期世代の支援/デフレ不況のツケは大きい

 バブル経済崩壊後のデフレ不況によって、正社員として就職できなかった人が多くいる「就職氷河期世代」に対し、国が集中支援に乗り出す。月内に閣議決定する骨太方針に支援プログラムのほか、数値目標を明記する。
 就職氷河期世代が生じたのは、デフレ不況を長らく放置した政府や日本銀行の政策の失敗が大きな要因だ。この時期、ほとんどの企業が採用を抑制したため、多数が非正規労働に追い込まれた。正社員に就けなかったのは自分たちの責任では全くない。
 氷河期世代は、1993年ごろ〜2004年ごろに高校や大学を卒業した世代で、現在の年齢は30代後半〜40代後半の人たちだ。この世代の就職状況がどれほど厳しかったかは、次のような数字から明瞭に浮かび上がる。
 大学卒業者の就職率(男女計)は、バブル時代には80%前後だったものが、95年には60%台に低下し、00年から6年間は50%台まで下がっている。大学を卒業した半数近くが就職できないという驚くべき悲惨な状況が続いた。
 総務省の統計によると、35〜44歳の現在の人口は約1700万で、このうち約370万人以上が非正規労働者だという。新卒時の就職というレールから外れてしまったために、引きこもりとなった人も多いとみられる。
 政府は今後3年間に氷河期世代の正規雇用者を30万人増やす目標を掲げる。経済団体などと自治体が連携する新しい枠組みを作り、採用や処遇の改善、社会参加を支援。非正規労働者に対し、正社員になるための教育訓練などを民間業者に委託して行う。
 支援策は多岐にわたる。ただ、今後の課題はどれほど受け入れ側が門戸を広げるかだろう。企業には暗黙の「35歳の壁」があるといわれる。正社員として雇用する際、年齢が35歳までの労働者を採用したいという希望が強く、こうした企業側の意識変革がまずは重要だろう。
 氷河期世代は団塊世代の子どもに当たる団塊ジュニア世代と重なっている。比較的人口が多いこの世代が、これまで正社員として十分に働けなかった状況は、社会の大きな損失を生んだ。低賃金のために未婚のまま過ごしている人も多く、少子化の一因ともなっている。
 このまま放置すれば、氷河期世代の就労問題は、今後20年ほどの間に、福祉の問題に移行しよう。低賃金の非正規労働者が高齢となり、生活保護で暮らさざるを得なくなるケースが心配される。生活保護費の増大は、確実に国の財政を圧迫するはずだ。
 デフレ不況のツケがこうした形で回ってくるとは国も想定外ではあったろう。支援が遅きに失した感はあるが、企業への助成金の増額や要件の緩和などを含め、総合的な対策を練って氷河期世代の救済に動いてもらいたい。


2019年06月05日水曜日


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