社説

太陽光の「卒FIT」/電気の使用を考える機会に

 一般の住宅で普及が進む太陽光発電。この余剰電力の買い取りは2009年11月に始まり、12年から「固定価格買い取り制度」(FIT)に移行する形で行われていたが、ことし11月以降、10年間の契約が順次終了する。
 いわゆる「卒FIT」だ。太陽光設備の設置世帯では契約終了後、設備をどう活用していくか。それを考えるいい機会となるはずだ。
 東北6県に新潟県を加えた東北電力管内では、2009年11月までに家庭用の太陽光設備を設置した3万2000件、約12万4000キロワットの設備がことし11月で契約期間を終える。その後、28年度までに18万5000件、84万7000キロワットまで増える見通しだ。累計では、一つの火力発電所分ほどに相当する。
 導入当初の固定買い取り価格は1キロワット時48円だった。導入コストが下がるとともに価格も段階的に下がっており、19年度は26円になっている。この買い取り費用の一部は電気料金に上乗せされている「賦課金」だ。
 「卒FIT」といっても制度自体がなくなるわけではない。新築住宅などの場合はこれまで同様、新規で10年の契約はできる。
 太陽光発電設備の耐用年数は20年から30年とされる。契約終了後も発電は可能だ。ただ、契約終了後、賦課金の上乗せもなくなった売電価格は大幅に下がる。今回の「卒FIT」をビジネスチャンスとして、多くの事業者も買い取りに参入している。
 対象となる世帯には6月頃から順次、東北電力が契約終了の通知を送付している。そのままなら、引き続き同社との契約継続となるが、新たな事業者に契約を切り替えて売電することも可能だ。
 東北電力の買い取り価格は1キロワット時9円。事業者の中には7円台もあれば、条件を付して10円を超える価格を設定しているところなどもある。
 資源エネルギー庁では「卒FIT」に向けて「どうする?ソーラー」というサイトを特設。事業者の紹介などを含め、契約終了後の円滑な移行を期す。
 サイトでは、「契約満了後、0円買い取りになる」などと例外的なケースを強調して契約を迫ったり、蓄電池のリースや購入などを求めたりする悪質なセールスの例を挙げ、注意を喚起している。
 東日本大震災の際にとどまらず、今回の台風でも、広範囲で長時間停電する被害が発生した。「卒FIT」に際しては、各社が単純な買い取りにとどまらず、蓄電池をリースして防災に役立てられるメニューなども提案している。
 「各家庭で電気の使い方を改めて考えながら、事業者を選んでほしい」と同庁。この10年で家族構成が変わり、電気の使い方が変化した世帯も当然ある。単に売電価格にとらわれず、ライフスタイルに合った選択も考えたい。


2019年09月17日火曜日


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