社説

関電役員らに金品/原発マネーの流れ解明を

 「原発マネー」の闇を晴らさずには、原子力発電への不信は払拭(ふっしょく)できない。徹底的に事実関係を解明し、うみを出し切るべきだろう。
 関西電力の会長、社長を含む役員らが、関電高浜原発の立地する福井県高浜町の元助役から、巨額の金品を受け取っていた。記者会見した岩根茂樹社長の説明によれば、2011年2月〜18年2月の約7年間で20人、計約3億2000万円に上る。
 岩根社長は会見で「一時的に保管した」と釈明したが、説得力に欠ける。金額も社会的な儀礼をはるかに超えている。そもそも、公益事業を担う大手電力会社が、原発立地自治体の関係者から金品を受け取ること自体、由々しき問題だろう。
 今年3月に亡くなった元助役は、原発関連工事を請け負う地元の建設会社から、受注に絡む手数料として約3億円を受領していた。関電側への金品提供について「お世話になっているから」として、個人口座に送金したり、現金を入れた菓子袋を届けたりしたという。
 役員らが金品を受け取った期間は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で原発が停止し、関電が電気料金を引き上げた時期に重なる。そうした電気料金を原資とする工事費が、関電の幹部に環流した疑いが濃い。
 会社法の収賄罪か特別背任罪に問われかねない重大な事案だ。専門家によれば、元助役が死亡しており、刑事責任を立証するにはハードルが高いとされるが、厳正な対処が求められよう。経営陣の辞任は免れまい。
 問題発覚のきっかけは、原発工事を受注した高浜町の建設会社に対する金沢国税局の税務調査だった。「原発マネー」に絡む一端が浮かび上がり、関電も指摘を受けて昨年7〜9月、社内調査で概要を把握したという。
 しかし、共同通信の報道で問題が明らかになるまで関電は公表せず、事実上1年間、放置していた。ガバナンス(企業統治)の面で大きな問題があろう。公共性の高い電力会社にもかかわらず、コンプライアンス(法令・規範の順守)の意識の低さを露呈したと言ってもいい。
 報道を受けて急きょ開いた会見でも岩根社長は、金品を受け取った20人について、自身と八木誠会長の名前だけを公表し、他は役職も明かさなかった。金品授受の経緯もあいまいな回答に終始した。
 これで済むはずはなく、政府や市民から批判が相次いでいる。岩根社長はあす、八木会長も同席して再び記者会見し、社内調査報告書を開示するという。当然だろう。
 ただ、社内調査は信用に足るものなのかどうか心もとない。独立した第三者委員会などを設置し、不透明な金の流れや癒着の構造を洗い出すべきではないか。それを抜きに信頼の回復は見込めない。


2019年10月01日火曜日


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