社説

関電の再会見/組織の根本的刷新が必要だ

 肝心の「原発マネー」の流れや金品の趣旨について納得できる説明はなく、真相の解明からは程遠い。不信感がさらに募った。
 関西電力の役員ら20人が、関電高浜原発の立地する福井県高浜町の元助役(故人)から多額の金品を受け取っていた問題で、関電の岩根茂樹社長らが再び開いた記者会見。金品を受け取っていた幹部の氏名や役職、金額などを公表したが、氏名公表は12人にとどまった。原発マネーが還流したのではないかとの疑念も晴れなかった。
 9月27日の記者会見で岩根社長は、役員らの金品受領額が計約3億2000万円相当に上ると説明したが、詳細は明かさず、批判が強まっていた。遅まきながら2度目の会見で、昨秋の社内調査報告書を開示した。
 現金のほか商品券やスーツの仕立券、米ドル、小判形の金…と、金品の種類はさまざまだ。一度に1000万円の現金授受もあり、スーツは1着50万円という高級品だった。役員2人はそれぞれ、総額が1億円を超えている。
 「手土産」としては常識のたがが外れている。岩根社長は会見で「返還しようとしたら激高された」などと釈明したが、理屈になっていない。まるで関電が被害者であるかのような言い分だった。
 関電幹部は、元助役からの高額品の提供が常態化している事態を認識しながら、対応を個人に任せていた。組織として対処してこなかった危機管理の甘さ、ガバナンス(企業統治)の不備は隠しようがない。
 今回の問題は、原発工事を受注した高浜町の建設会社への国税局の調査が発覚の契機となった。元助役が建設会社から、受注に絡む手数料として約3億円を受領し、関電側に金品を提供していた。
 関電は昨年9月に社内調査の結果を把握しながら、取締役会に報告せず、1年以上も公表しなかった。隠蔽(いんぺい)体質とのそしりは免れない。
 浮き彫りになったのは、原発関連工事に絡む関電と地元有力者とのいびつな関係だ。元助役は、原発関連工事を請け負う会社の要職に就いていた。発注者側である関電の子会社の顧問も務めていた。
 報告書によると、関電側は元助役に対し、予定される工事の情報を提供していたという。金品授受の見返りではないと関電は主張するが、にわかには信用できない。
 さらに金品の元が関電の原発関連事業の費用であれば、「原発マネー」が元助役を介して関電の役員ら個人に還流したことになる。新たに設置される第三者委員会に全容解明を求めたい。
 岩根社長と八木誠会長は続投の意思を示した。だが、当事者である経営トップがうみを出し切れるのか。小手先の再発防止策ではなく、組織を根本的に見直さない限り、信頼回復はおぼつかない。


2019年10月04日金曜日


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