社説

台風15号1ヵ月/被害実態に即した支援策を

 千葉県を中心に広域に甚大な被害をもたらした台風15号の関東上陸から、9日で1カ月となった。停電はピークで約93万5000戸に上ったのに加え、長期化した。住宅被害は4万戸を超えている。
 停電はほぼ復旧したが、自宅の屋根が損壊し、ブルーシートで覆って風雨をしのぐ世帯が少なくない。修繕がままならない中で、新たな台風19号の接近が懸念される。警戒を強めたい。
 台風15号では、住宅被害の約9割が「一部損壊」だ。千葉県では9日現在、住宅被害3万5000棟余りのうち、全壊が198棟、半壊1958棟で、一部損壊は3万3377棟に及ぶ。
 こうした被害を受け、政府はこのほど、災害救助法に基づく住宅の応急修理費支援制度を拡充し、一定の要件を満たす一部損壊も対象に加えると決めた。修理費を最大30万円支援する。
 内閣府が近く告示を改め、恒久的な制度とするという。応急修理の支援はこれまで半壊と大規模半壊に限られ、一部損壊は支援の枠組みから外れていただけに、修理を必要とする被災者にとっては朗報だろう。
 新たな制度は、本年度以降に発生した災害で災害救助法が適用された市区町村が対象となる。8月に記録的豪雨に見舞われた佐賀県の市町は対象だが、6月の新潟・山形地震で約760戸の住宅が被災した鶴岡市は含まれない。80〜100戸の住家滅失という同法の適用基準に当てはまらないからだ。
 これでは同じ一部損壊ながら、国の支援に差が生じてしまう。全壊戸数を要件として災害救助法が適用されるのが果たして適切なのかどうか、見直しが必要ではないか。
 被災者支援のもう一つの柱である被災者生活再建支援法も適用は全壊10戸以上との基準があり、昨年の西日本豪雨では自治体によって適用のばらつきがあった。不公平感は否めないだろう。
 最大300万円の支援金を支給する支援法は原則、全壊と大規模半壊に限られる。全国知事会は昨年、支援金の拡充や半壊世帯への支給を提言している。こちらも見直しの議論を急いでほしい。
 そもそも、被災者支援の法制度は「継ぎはぎだらけ」と言われる。大災害を後追いする形で整備され、災害ごとに特例を設けるなどしてきた。継ぎはぎからこぼれ落ちる被災者は少なくない。
 災害が激甚化している今、災害法制全体を再整備する時期に来ているのではないか。被災者の住まいや暮らしの再建を切れ目なく、継続的に支える総合的な支援法制を政府は検討してほしい。
 被災者を支える体制づくりも急務だ。それぞれの被害実態を踏まえた救済策が講じられるよう、個々の事情に応じた災害ケースマネジメントなどの仕組みも必要だろう。


2019年10月10日木曜日


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