社説

台風19号被害/国はフル回転で支援強化を

 台風19号による被害は、状況が明らかになるにつれて深刻さを増している。多くの住民が避難所に身を寄せ、物資の補給、仮住まい先の提供を待っている。
 生活再建には寸断された道路、決壊した堤防や農業用施設の復旧も求められよう。
 政府は、今回の台風被害を「激甚災害」に指定する方針だ。速やかに指定して自治体が安心して取り組める体制を整える一方で、激甚指定以外の支援措置をフル回転させるなど、あらゆる手だてを講じてもらいたい。
 激甚災害に指定されると、自治体の復旧事業が財政面で優遇される。道路、河川、公園といった土木施設で国の補助率が70%から84%、農地で82%から95%、農業用施設で92%から98%と1〜2割程度かさ上げされる。
 宮城県の財政担当者は「地元負担が軽いとなれば、思い切って事業を進められる。大規模な工事にも対応できる」と早期指定を望む。
 自治体に交付する普通交付税について、政府は11月配分予定の交付税を前倒しする。当面必要な現金を見込めるだけに、迅速に配分して使われるよう求めたい。
 被災者本人や家族の支援に関し、政府はきのう、「特定非常災害」に指定することを閣議決定した。
 運転免許証の有効期間を延長するなど、さまざまな行政手続きができなくなった人を特例措置で救済する。東日本大震災などに続き、全国6例目となる。
 豪雨で適用されたのは昨年の西日本豪雨以来で、土砂の後片付けや復旧作業に追われる住民を後押しする。
 西日本豪雨では、国の予算から予備費が支出された。緊急時に備え、あらかじめ用意している予算で、「生活・生業再建パッケージ」と題した支援策に活用された。
 広島県、愛媛県など農業・製造業の盛んな点が考慮された。農地に流れ込んだ土砂と廃棄物の除去のほか、農業用ハウスの再建、果樹の植え替え、さらに工場や店舗の復旧に充てられた。
 台風19号被害でも、泥水を含む廃棄物やごみが発生している。捨て場に困り、広域で処理できる場所の確保に迫られる。
 川沿いにある果樹園、農地でいつになったら営農を再開できるか、地域の死活問題にもなっている。
 2019年度当初予算には5000億円の予備費が計上されている。政府は第1弾として、7億1000万円の支出を決定し、水や食料などの物資を送り始めた。
 今後、規模を拡大し、細大漏らさずに進めてほしい。予備費はほかの使途に備えて残す必要があり、いずれ補正予算の編成は避けられない。
 困難な時こそ、国と自治体の連携は不可欠だ。それぞれの役割を結集した総合力で乗り切りたい。


2019年10月19日土曜日


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