社説

即位礼正殿の儀/令和にふさわしい皇室像を

 天皇陛下が内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」が22日、皇居・宮殿で執り行われた。台風20号から変わった温帯低気圧の影響であいにくの雨となったが、つつがなく正殿の儀は終了した。改めて両陛下の即位に心から祝意を表したい。
 海外からは多数の王族や国家元首、国際機関の代表らが列席した。歴史と伝統を重んじる日本文化の一断面に接して心を動かされた参列者も多いだろう。また、各国から祝意が寄せられた事実は、平和国家としての日本の歩みへの信頼の証しでもある。
 長い歴史と皇室の伝統を諸外国に理解してもらい、国際親善を深める格好の機会ともなったはずだ。両陛下には豊かな国際感覚と留学を生かした卓越した語学力があり、令和の新時代にふさわしい皇室外交が期待されよう。
 5月に両陛下が即位して以降、印象に残る公務は外国の賓客との会見だ。来日したトランプ米大統領夫妻とは通訳を介さずに英語で言葉を交わし、6月に来日したフランスのマクロン大統領夫妻とはフランス語で会話をした。
 歴代天皇で初めて留学経験がある陛下は、現在も英語とフランス語、スペイン語の3カ国語の勉強を続けているという。外国の賓客を迎えた際の皇后さまの晴れやかな笑顔も、お二人の若々しさとともに多くの国民に強い印象を残したのではないか。
 水に関する問題が陛下のライフワークという。留学先のオックスフォード大ではテムズ川の水運を研究し、2003年に日本で開かれた世界水フォーラムでは名誉総裁を務めた。水不足や水質汚濁、洪水が深刻化する現状が報告され、水問題の解決に深い関心を持つ契機になったという。
 「水と災害」をテーマに昨年3月、ブラジルで開かれた世界水フォーラムでは当時皇太子だった陛下が講演し、水害について「地球規模で発生する自然の脅威に対抗するため、国際社会は結束して対処していく必要があります」と語っている。
 昨年7月の西日本豪雨、今回の台風19号による広範な水害など、自然災害の脅威は増すばかりだ。それに対応するさまざまな局面で、陛下の水問題に対する意識の高さと取り組みの成果が広く共有されるよう期待したい。
 「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」。即位礼で陛下はこのようなお言葉を読み上げた。
 戦争犠牲者への慰霊と平和への思い、被災者に寄り添う姿勢など、皇室は大多数の国民に共感をもって受け入れられている。両陛下の国際的な視野を生かしつつ、お二人ならではの新たな皇室像を築き上げてもらいたい。それが国民の願いでもあるだろう。


2019年10月23日水曜日


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