社説

経済対策26兆円/詰め込みを避け実効性図れ

 政府は総額26兆円規模の経済対策を決めた。第2次安倍政権以降、5回目の策定で、28兆円の事業を組んだ3年前に次ぐ規模となる。
 台風19号など自然災害からの復旧、消費税増税後の景気腰折れ対策、米中貿易摩擦を乗り切る設備投資など目いっぱいな内容になっている。
 来年の東京五輪後に経済が減速しないよう「未来への投資と活力維持」も盛り込んでいる。台風被害を受けた住民や自治体への支援は欠かせないことながら、政権の実績づくりを急ぎ、あれこれと中身を詰め込んだ格好だ。
 財源を建設国債の発行や予算の不用額などで賄い、赤字国債の増発をしないものの、各方面からの要望と歳出圧力は高まるばかりである。
 年末の2020年度予算編成はもちろんのこと、厳しい財政規律を求める声は大きい。最初に数字と事業ありきではなく、現場の実態に合わせた実効性のある施策につなげてほしい。
 主要事業の柱として、全国の小中学校で23年度までにパソコンを「1人1台」使えるよう、自治体に助成する。現在のパソコン配置は5.4人に1台の割合という。
 世界各国から後れを取っているとの指摘を受けて重点化した。操作の得意な子どもの育成に偏ることなく、節度のある利用には指導者の養成も欠かせない。教員の確保や授業内容の向上にも目配りしてもらいたい。
 バブル経済崩壊後に就職難を経験した「氷河期世代」の就労を進める。30代半ばから40代の半ばにある非正規労働者の国家公務員への中途採用に取り組むという。
 地方自治体や民間企業に協力を促すとともに、将来の医療、年金財政など社会保障の担い手になってもらう狙いがある。即戦力として定着させるには支援プログラムの用意も求められよう。
 台風などの災害対策では、河川の水位を下げるための土砂除去工事を行う。市街地に降った大雨を排水できなかった反省から雨水貯留施設を増やすとともに、ダム機能を持つ調節池を整備する。
 そのこと自体に異論はないが、建設、設備業界などは深刻な人手不足に見舞われている。個々の施策を着実に行えるかどうか、地域の実情を第一に考えてもらいたい。
 防災施設に多額の費用をかけても、地元住民の理解を得られなければスムーズに進まない。防災のまちづくりと一体となって運用してほしい。 経済対策の費用は、19年度補正予算案と20年度当初予算案に盛り込まれる。政策経費をどれだけ税収などで賄えるかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、25年度に黒字化する目標は一段と遠のいてきた。
 大型予算の陰でかすみがちな歳出抑制と財政健全化の取り組みを、一層強めなくてはならない。


2019年12月07日土曜日


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