社説

ゲーム障害/相談と治療の体制拡充急げ

 若い人がスマートフォンなどで毎日どれほどゲームにのめり込み、日常生活に支障を来しているのか。国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)による国内で初の実態調査で、深刻な状況が浮き彫りになった。
 全国の10〜20代のうち、3人に1人が平日に「2時間以上」ゲームをしていた。このうち「4時間以上」の人は全体の1割を占め、「6時間以上」も2.8%いた。
 プレー時間が長い人ほど、「学業成績の低下」や「昼夜逆転」などの悪影響が顕著だった。学校や職場への遅刻や欠席、さらに引きこもりにつながるケースもみられる。
 厚生労働省は調査結果を基に、ゲーム依存対策の検討を本格化させるという。深刻な現状を見れば、対策は遅きに失した感がある。政府や関係機関は取り組みを急がなければならない。
 ゲームをしたいという衝動を抑えられず、日常生活よりもゲームを優先し、心身に問題が起きても続けてしまう。それは「ゲーム障害」という依存症だ。世界保健機関(WHO)は5月、治療が必要な新たな精神疾患として認定している。有効な治療法はまだ確立されていない。
 患者の大半は、多くの人が同時に対戦プレーできるオンラインゲームの利用者とされる。1人だけゲームから抜けるのが難しいという要因がある。今回の調査では48.1%が主にオンラインでゲームをすると答えている。
 調査では、1日6時間以上ゲームをする若者のうち、半数以上が昼夜逆転の生活をする傾向があった。過去1年間で、半年以上にわたり自宅に引きこもっていた人も2割以上に上った。
 ただ、どの程度の時間からゲーム依存の危険性が高まるのか、医学的な根拠は今のところない。今回の調査を足掛かりに予防策や治療の指針作りにつなげたい。
 オンラインゲームが盛んな中国では、政府が先月、18歳未満に対して午後10時から翌朝8時までのゲーム禁止や、平日は90分までとする規制措置を打ち出した。ゲームのアカウントを開設する際、実名登録も義務付けた。
 韓国政府も16歳未満の時間を制限し、依存症の若者を集めた合宿治療をしている。
 日本では、今回調査を実施した久里浜医療センターが2011年、インターネット依存の専門外来を開設した。重症者には規則正しい生活を取り戻してもらうため、ネットのない環境で入院治療を施している。
 だが、こうした医療機関はまだまだ少ない。患者の早期発見と治療につなげるためにも、当事者や家族が相談できる体制の拡充が急務だ。
 ゲーム自体やプレーすることが問題なのではない。過度な飲酒による依存症と同様、ゲームのやり過ぎは病気になり得ると心得ておきたい。


2019年12月14日土曜日


先頭に戻る