社説

秋元議員逮捕/利権と癒着の構図にメスを

 令和元年の年の暮れ、政界を揺るがす汚職事件が発覚した。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡り、業者から政治家へ流れたカネに捜査のメスが入った。
 IR事業に関心を寄せていた中国企業側から、現金300万円などを不正に受け取ったとして、東京地検特捜部はきのう、収賄容疑で衆院議員の秋元司容疑者(48)=自民=を逮捕した。
 秋元容疑者は2017年8月から18年10月まで、内閣府副大臣でIRを担当し、観光施設を所管する国土交通省の副大臣も兼務していた。そうした立場を利用し、現金をもらって便宜を図ったとしたら言語道断だ。
 「カジノ利権」にありつきたい業者と政治家のつながりは不透明な部分が多い。捜査当局には、IR事業に絡む利権、癒着の構造や政治とカネを巡る不正について全容解明を求めたい。
 秋元容疑者は、カジノ導入推進派議員として知られる。16年9月に衆院内閣委員会委員長に就任。IRの基本理念を定めたIR整備推進法の審議では、委員長として野党の反対を押し切って法案の採決に持ち込んだ。
 カジノ解禁を柱とするIR整備法が昨年7月に成立する過程では、IR担当の内閣府副大臣だ。中国企業側とは、このIR担当時代に知り合ったとみられる。国会の議論をゆがめることはなかったか、徹底的に調べてほしい。
 IR事業に絡む業者と政治家のつながりは、秋元容疑者に限らない。西村康稔経済再生担当相は昨年、米カジノ業者の関連企業にパーティー券を購入してもらっていたことが判明した。
 西村氏は、超党派の「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」の元事務局長である。西村氏は参院内閣委で「立法過程に影響は与えていない」と釈明したが、たとえ合法的な政治献金であっても癒着の温床になりかねない。
 IR汚職事件を受け、国会は他の議員についてもIR事業に絡む業者との関係をただすべきだろう。政治家は自ら襟を正す必要がある。
 IR事業については、ギャンブル依存症や暴力団など反社会勢力の介入、マネーロンダリング(資金洗浄)など多くの懸念が挙がっていた。ここはいま一度、事業の見直しが必要ではないか。
 安倍政権はIR事業を成長戦略に掲げ、観光立国の目玉と位置付ける。安倍晋三首相は「IRは必要だ。世界中から観光客を集める」と意義を強調してきた。
 政府与党は昨年、通常国会の会期を大幅に延長し、7月の西日本豪雨で被害が続くさなかに参院内閣委を開くなどして、強引にIR法案を可決した経緯がある。その陰で、内閣府副大臣が汚職に手を染めていた疑いがある。
 安倍政権の責任も極めて重いと言わざるを得ない。


2019年12月26日木曜日


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