社説

自然災害と停電/地域で非常用電源の備えを

 家でも職場でも身の回りは電気を使う機器であふれている。一方、近年は自然災害による大規模停電が頻発。電気に依存する生活だからこそ、停電に備えたい。
 今年9月の台風15号では千葉県で大規模停電が発生し、復旧に16日を要した。風水害に限らず、地震、津波、大雪でも停電は起こりうる。
 スマートフォンなどの携帯端末は、日常生活はもちろん、被災時でも欠かせない存在になった。家族や職場への連絡に加え、自治体からは緊急速報メールが届く。
 緊急速報メールを受けた後、自分が暮らす地域の防災気象情報を自治体や気象庁などのウェブサイトで確認する動作は、身を守るための新習慣として定着しつつある。
 ただし、各種機能が使えるのは電源が入ってこそ。昨年9月の北海道地震では大規模停電の影響でスマホの電池が切れ、ウェブサイトや会員制交流サイト(SNS)に接続できない人が続出。バッテリーの持ちが悪いスマホ頼みのリスクが露呈した。携帯充電器だけでなく、乾電池式のラジオを準備し、情報収集に支障が出る事態は避けたい。
 停電時の非常用電源として注目されているのが、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)。台風15号では自動車メーカーが被災地に派遣し、車載の大型電池から電力を供給した。
 地域にある「走る電源」を活用しようと、東京都練馬区は昨年、区民が所有するEVやPHVを対象に災害時協力登録車制度を導入した。現時点で登録は5台。震度6弱以上の地震が発生した際、避難拠点に駆けつけ、照明などの電源として使われる。
 今後、地域の備えとして備蓄倉庫のラインアップに自家発電機や家庭用コンセントが使える蓄電池「ポータブル電源」があると心強い。EVやPHVを持っている住民をリストアップし、事前に協力を呼び掛けるのも一つの手だ。
 暖房器具も今や電源が必要なタイプが主流になっている。東日本大震災の発生直後を思い返すと、重宝したのは昔ながらの石油ストーブだった。震災で再評価され、2011年度は全国で前年度の倍近い246万台が売れた。
 灯油さえあれば暖が取れるほか、天板の上に鍋を置けば湯を沸かしたり、汁ものを作ったりできる。加熱調理ではカセットコンロの活躍も、当時はよく耳にした。
 これから冬本番を迎える東北では、停電時の寒さ対策として使い捨てカイロ、防寒用のアルミブランケットなどの用意も。携帯トイレと一緒に車に積んでおけば、大雪で立ち往生した際も役に立つ。
 年が明けると震災から9年になる。年末年始に家族で食卓を囲んだときに、あの時どんなことに困り、どんな対策が必要だと考えたのか振り返り、停電対策をはじめ備えの具体策を講じてほしい。


2019年12月30日月曜日


先頭に戻る