社説

予算委員会/核心答弁拒み続ける首相

 核心部分を答えないことで、うやむやにするつもりなのか。疑惑を払拭(ふっしょく)しようとする姿勢は感じられず、自身の正当化ばかりが目立つ。
 論戦が本格化している衆参両院の予算委員会における安倍晋三首相の答弁である。
 野党側は首相主催の「桜を見る会」、昨夏の参院選で自民党の河井克行前法相と妻の案里参院議員の政党支部に党本部から計1億5000万円が振り込まれた問題、カジノを含む統合型リゾート(IR)に絡む汚職事件などで追及を強めている。
 一問一答形式の予算委の論戦は昨年11月の参院予算委以来、約2カ月ぶりだ。
 にもかかわらず、首相は質問に正面から答えようとせず、これまでの立場を繰り返している。慢心を指摘されると、いっときは謙虚な姿勢を演出するものの、説明を尽くさずにやり過ごすのがパターンになってしまった。
 通算の在職日数が歴代最長となった政権の「緩み」にほかならない。突き付けられた数々の疑念を晴らし、硬直した権力構造の底によどむ分厚い「おり」を一掃する。首相が果たすべきことは、この一点に尽きるのではないか。
 桜を見る会について首相は「結果として招待者数が膨れ上がった実態は反省しなければならない」「予算と支出の乖離(かいり)が拡大していたことは望ましいものではなかった」と反省を口にした。
 ただ、招待者の詳細や名簿が消去された経緯に関しては「個人情報に関わる」などを理由にかわし続ける。自身の議員事務所による推薦者を巡る調査も拒否した。
 河井夫妻への多額の振り込みを巡っては「党本部から支部への政治資金の移転は何ら問題ない」と述べた。昨年の参院選で、自身の秘書を案里氏の陣営に応援に行かせたことは認めたが、振り込みへの関与は「党本部に任せている」と詳細な説明を拒んだ。
 「沈黙は金」とばかりに、都合の悪いことになると棒読みになるケースが多い。一方で野党の追及をかわそうと、旧民主党政権を引き合いにした反論は多弁になる。
 桜を見る会への首相の招待者が歴代政権と比べて増えていることを批判され、首相は2010年に同会を開いた旧民主党の鳩山由紀夫首相に言及。「当時の鳩山首相は、地元の後援者と写真撮影していた」などと強調した。
 招待者名簿の不自然な廃棄や公文書管理法に違反した取り扱いが相次いで発覚した状況で、旧民主党の例を挙げて自らを正当化するのは筋違いと言えまいか。論点のすり替えにも映る。
 2019年度補正予算が成立し、20年度予算案の質疑に入る。政権に向けられた疑念や政策課題は引き続き追及されるべきだ。政府は説明を尽くしてほしい。それは首相がよく口にする「行政府の長」の責任である。


2020年02月03日月曜日


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