社説

GDP大幅減/景気対策を迅速かつ大胆に

 昨年10月の消費税8%から10%への増税は、最悪のタイミングだったと言わざるを得ない。増税による日本経済の減速が鮮明になってきた。政府は考え得るあらゆる経済政策を打って、景気のさらなる減速を避けるべきだ。
 国内総生産(GDP)が大幅に減ったことが明らかになった。内閣府が17日に発表した2019年10〜12月期の速報値は、物価変動を除く実績で前期比1.6%減。このペースが続くと仮定すると、年率では6.3%減となる。
 この大きな減少幅は、前回の消費税増税時の14年4〜6月期に7.4%減を記録して以来、5年半ぶりだ。デフレを完全には脱却していない状況で増税に踏み切れば、景気が急減速するのは誰の目にも明らかだった。
 消費税の増税に従来から固執してきた財務省では「ここまで落ち込むとは」と幹部職員が語ったという。台風被害や暖冬による想定外の需要減があったと言いたいのだろうが、増税による相当の落ち込みは予測できたはずだ。
 景気が過熱気味の時期の増税なら別だが、昨年10月の段階では景気の拡大期にはあったものの、デフレ基調は脱していなかった。国際情勢を見れば、米国と中国の貿易紛争の激化、中東情勢の緊迫、英国の欧州連合(EU)離脱問題など、世界経済にとっての不安定要素も多くあった。
 景気の減速に備えて軽減税率やポイント還元などを政府は用意したが、そうした小手先の景気対策では十分ではなかったということだ。前回増税時と同様、政府と財務省の見通しの甘さは批判されてしかるべきだ。
 東北地方では山形市の百貨店大沼が先月、自己破産手続きの開始決定を受けた。破綻の原因について、経営側は記者会見で消費税増税の影響を真っ先に挙げている。実際にどの程度の影響があったのか明らかではないが、経営者の実感ではあるだろう。
 気になるのは景気に対する政府の楽観的な見方だ。1月の月例経済報告では「緩やかに回復している」として国内景気の判断を据え置いた。昨年末の段階で、貿易統計や鉱工業指数、家計調査など各種統計が軒並み悪化したにもかかわらずである。
 中国では新型コロナウイルスによる肺炎の広がりで景気の失速が著しい。先行きが不透明な米中の貿易戦争の進展によっては、世界経済のさらなる減速も懸念されよう。ここは国内への影響を最小限に食い止めたいところだ。
 いったん引き上げた税率を下げるのは政治的に困難である以上、消費税の増税分を全て吐き出すような大胆な景気対策を迅速に取るべきだ。
 今回の増税では、駆け込み需要が少なかった上に、増税後の消費の落ち込みが大きい点に着目したい。低調な消費は長期に及び、日本経済はいま正念場に立たされている。


2020年02月19日水曜日


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