社説

子どもの学習支援/官民が力合わせ知恵絞る時

 新型コロナウイルスの感染拡大で、長期休校が続く子どもたちのために何ができるのか。教育現場は頭を悩ませていることだろう。
 文部科学省は先日、子どもたちの学習機会を確保するよう求める通知を都道府県教育委員会などに出した。特に強調したのが、インターネットによる「オンライン授業」など情報通信技術(ICT)の最大限の活用だ。
 掛け声を上げるのは簡単だが、現場は右往左往しているに違いない。宮城県内では学習プリントの配布に頼っているケースが多く、仙台市教委は「ネットワーク環境の整備に着手する段階」と、オンライン授業を簡単に進められる状況にはないと説明する。
 とはいえ、一歩を踏み出して試行錯誤を重ねている自治体もある。動画投稿サイトのユーチューブを使った授業動画の配信はその一つだろう。
 例えば、大阪府箕面市教委は45分授業を10分程度に凝縮した動画を制作。小学1年〜中学3年の全教科分を毎日配信しているという。
 登場するのは現場の教師たち。市教委は「最初は動画に顔を出すのをためらっていた先生も、徐々にエンジンがかかってきた」と手応えを口にする。ネット環境が自宅に整っていない児童生徒には、1週間分の動画をあらかじめ取り込んだタブレット端末の貸し出しも始めた。
 ただし、動画配信は学校側からの一方向の知識伝達にとどまる。箕面市教委の担当者も「対話を重視した普段の共同学習のようにはいかない」と感じている。
 教員と児童が同時にやりとりできる双方向型のオンライン授業に関しては、東日本大震災の被災地などで学習支援に取り組む団体も必要性を認識している。
 一人親家庭などの子どもたちの無料指導を、仙台市や宮城県南三陸町で続けてきたNPO法人キッズドア(東京)は近く、ビデオ会議アプリを活用した学習会を始める予定だ。東北事務局(仙台市)は「本当に支援が必要な子どもたちには、ほめてあげるなど伴走型の取り組みが不可欠」と指摘する。
 全国の教委を対象にした文科省の調査によると、オンライン指導を実施するとの回答は5%(16日の集計時点)にとどまる。大型連休明け直後に学校を再開できればいいが、郡和子仙台市長が22日の記者会見で「かなり厳しい」と語ったように、さらなる休校長期化も否定できず、学習支援の重要性は増すばかり。
 民間の手を借りることも一つの方策だろう。宮城県女川町教委はオンライン授業で実績のある放課後学校「女川向学館」を運営するNPO法人カタリバ(東京)との連携について検討に乗り出した。
 地域や家庭環境による学習格差を生じさせないため、官民を挙げて知恵を絞ることがいち早く求められる。


2020年04月27日月曜日


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