社説

コロナ禍と困窮学生/本格的な救済策の検討急げ

 学業を続けられるだろうか。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が収縮する中、多くの若者が強い危機感を抱いている。
 親の収入が減り、アルバイトはあればいい方だ。にわかに学費の工面や生活の維持に窮しているのだ。
 集団感染防止のためキャンパスは閉鎖され、図書館、研究室など学内の施設は利用できない。学生は八方ふさがりの状態にある。緊急事態宣言が全国に出されたことを考慮すべきだろう。国と大学側は学費の減免や給付型奨学金制度の拡充など学業継続へ支援策を早急に打ち出してほしい。
 国公立や私立の大学、専門学校が数多くある仙台市には、東北をはじめ各地から若者が集まる。アルバイト先が多く、学生向けアパートもそろう。学生生活を送りやすいが、コロナ禍で急変した。
 学生たちに話を聞くと、3月から飲食店や学習塾のアルバイトはなくなった。通学も帰省することもできず、「毎日時間を浪費しているだけで、身の置き場がない」などと悲痛な声が上がっている。
 東北大4年の女子学生は外出自粛で就職活動が思うように進められない上に、学費と生活費の心配がかぶさってきた。事務補助をしているが、学生の就労希望が急増。仕事を分け合うことになったため収入は激減した。「就活真っ最中のはずが企業訪問すらできない。バイト代の減少も予想外。目の前が急に真っ暗になった」と苦しんでいる。
 学生団体「みやぎ学生緊急アクション」によると、調査に回答した宮城県内の学生579人のうち、5人に1人が収入減を理由に退学を検討している。アルバイトをする4割が「収入がなくなった」と影響を受けている。団体は自治体独自の給付型奨学金の創設や拡充、学費の減免などを求めている。
 学生生活を支えるため文科省は低所得世帯向けに新設した修学支援制度の対象に、コロナ禍で収入が大きく減った世帯の学生を加えた。世帯収入によってはバイト収入が減った学生も含めた。
 在仙の一部大学は生活が困窮している学生に一定額を支給する制度を設けた。東北学院大は1人10万円を支給するが、年間100万円を超す学費が重くのしかかる。
 国と大学側は学費減免には消極的だ。大学側は施設や設備、教員体制を維持する費用も考慮し、学費を決めるとの立場だ。前例のない非常時が長引いている以上、国による大学の財政支援も必要であろう。人を育むことに対する意思と包容力が問われる。
 来年春に卒業する学生は就職活動に不安を募らせている。部活やサークル活動が停止され、孤立感を深めている学生もいる。悩みを一人で抱え込むことがないよう、大学の相談窓口の充実など心のサポートにも目を配ってほしい。


2020年05月10日日曜日


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