社説

在日米軍コロナ感染/水際対策の抜け道をふさげ

 国内の米軍基地で、新型コロナウイルスの感染が急速に広がっている。
 沖縄県では大規模なクラスター(感染者集団)が発生したとみられている。三沢基地(三沢市)では米国から到着した軍関係者数人の感染が判明したが、米軍側はいずれも詳しい感染状況を明らかにしていない。
 基地で働く日本人従業員や基地外への拡散が懸念されるが、地元自治体は感染状況が分からず、基地がブラックボックスになっていると警戒感を強めている。
 米本土と頻繁に往来のある日本国内の基地が水際対策の抜け道になっている恐れがあると受け止めるべきだろう。
 米軍は防疫対策に万全を期すのはもちろんのこと、感染者情報を迅速に地元自治体に提供し、見えない脅威に対抗するため、今こそ連携を強めるべきではないか。
 普天間飛行場とキャンプ・ハンセンでクラスターが発生したとみられ、米軍はロックダウン(封鎖)したというが、感染者の行動履歴やプロフィル、感染者と濃厚接触者の措置状況を公表していない。
 日米には感染症などが発生した場合、米軍病院と地元保健所が情報交換するという覚書がある。しかし、米国防総省は3月、軍の運用能力を推測されないためとして、コロナに関して、基地や部隊ごとの情報を発表しない方針を示した。
 沖縄県側は、感染者数の速やかな公表をはじめ、米本土から沖縄への移動禁止、基地内の医療、検査体制に関する情報提供などを米軍当局と日本政府に求めている。
 基地内で重症者が多数出た場合、米軍の病院で医療崩壊が起きかねない。地元住民の不安を解消できないなら、沖縄の全ての米軍基地を封鎖し、米軍関係者の移動を停止すべきだ。
 沖縄県側が不信感を抱く理由がほかにもある。
 米海兵隊は、海外から来た人について14日間の隔離措置を取り、警戒を解いていないとしている。ところが、沖縄では今月4日の米独立記念日前後に、基地内で数千人規模、基地外で数百人規模のパーティーが開かれ、米軍関係者らが密集して騒いでいる様子が目撃されている。
 玉城デニー知事が「米軍の対策に強い疑念を抱かざるを得ない」と述べ、危機感をあらわにしたのは当然だろう。さらに米軍は地元に説明しないまま、基地外の民間ホテルを隔離施設にしており、住民が不安がっている。
 3月に嘉手納基地で3人が感染して以降、米軍は感染拡大を阻止できていない。
 米国は感染者が330万人を超え、世界で最も多い。日本政府の入国拒否対象国だが、米軍人らは日米地位協定により対象外だ。日本政府は防疫対策が手遅れにならないよう、前面に立って早急に手を打つべきである。


2020年07月15日水曜日


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