社説

野党の合流協議/与党の慢心戒める対抗軸を

 立憲民主、国民民主両党の合流協議が正念場を迎えている。単なる数合わせではなく、与党と互角に渡り合える対抗軸が構築されることを期待している。
 合流協議は1月、通常国会の本格始動を前に頓挫した。党名、綱領、人事で折り合いが付かなかったのが要因だ。
 仕切り直しの協議は、立民の枝野幸男代表が国民に秋波を送る形で再開した。早期合流が持論の国民の小沢一郎衆院議員(岩手3区)と、歩み寄りに向けて会談したことも再始動の機運を高めた。
 対等合併を求める国民に譲歩する形で立民が7月、吸収合併の主張を取り下げたことで事態が進展している。態度を軟化させた背景には、衆院解散への強い警戒感がある。野党がばらばらに戦えば、自民党を利するだけだという焦りがあることは間違いない。
 新設合併を前提にした合流協議は(1)各党の幹事長・政調会長で綱領を取りまとめる(2)結党大会で実施する代表選の手続きは幹事長間で決める(3)新党名も幹事長間で協議を続ける−方向で進む。
 合流成否の焦点は、党名と消費税減税の扱い、原発政策に加え、両党間にくすぶるわだかまりの払拭(ふっしょく)に絞られる。
 党名を「立憲民主党」とする立民案に、国民の玉木雄一郎代表は投票など民主的な方法での決定を提唱。一方、玉木氏は消費税率を時限的に5%にする政策を示し、立民が減税に慎重な姿勢を見せる。電力労組の支援を受ける国民と、原発ゼロを訴える立民との温度差は大きい。
 他の懸案は昨年7月の参院選を巡り、改選複数区で両党が競り合いを演じてしこりを残した点だ。さらにさかのぼれば2017年、衆院選を控えた中での民進党分裂によって生じた相互の遺恨もある。
 議員数、支持率で国民を上回る立民と、民進党を引き継ぎ、政党交付金の配分など資力で勝る国民の客観的事情からしても心理的距離が生じるのは致し方ない。
 しかし、これらの隔たりを乗り越えてでも大同団結を−と望む声は少しずつ顕在化している。野党の弱体化が与党、特に自民のおごりや怠慢、緊張感の欠如に伴う失政を許していると言えるからだ。
 現に自民の政党支持率は、共同通信社による世論調査(7月17〜19日)で31.9%に低下。12年12月の第2次安倍内閣発足後、15年7月、17年7月と並び最低を記録した。
 立民は、社民党との合流協議も並行させる。両党幹事長は6月の協議後、「野党の結集で自公政権に対峙(たいじ)する力をつくり、政権交代を実現する。合流でその歩みを進める意義を確認した」と宣言した。
 ここにも地方組織の在り方といった調整すべき問題は存在する。理念と政策、課題は熟議を重ね、克服する知恵を出し合ってほしい。確固たる対抗軸は、長期政権の慢心を戒める特効薬になるはずだ。


2020年08月05日水曜日


先頭に戻る