社説

秋元議員再逮捕/乏しい順法精神即刻辞職を

 日本でカジノを解禁する統合型リゾート施設(IR)事業に絡む汚職事件で収賄罪で起訴された衆院議員秋元司容疑者(自民党を離党)が、今度は組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで、東京地検特捜部に再び逮捕された。
 贈賄罪で起訴された中国企業側に裁判でうその証言をするよう依頼し、報酬の提供を持ち掛けたとされる。
 業者から賄賂を受け取った上に、保釈中で裁判を待つ身でありながら、その公正さをゆがめようとした疑いを持たれていることになる。事実だとすれば、順法精神が著しく欠けていると言わざるを得ない。議員を即刻辞職するべきだ。
 秋元容疑者は、IR事業に関心を持っていた中国企業側から計約760万円相当の賄賂を受け取ったとして2回逮捕、起訴された。当時、IRを所管する内閣府副大臣だった。起訴内容を全面否認し今年2月に保釈され、議員活動を再開していた。
 起訴内容によると、中国企業の元顧問2人が2017年9月、議員会館の事務所で現金を秋元容疑者に渡したとされる。
 秋元容疑者は面会そのものを否定しているが、贈賄罪で起訴された元顧問の1人は現金授受を認めている。特捜部は自らの主張に沿うように元顧問に証言を変えてもらうため、支援者を通じて働き掛けたとみている。
 証人買収事件で特捜部は今月4日、秋元容疑者の支援者ら3人を逮捕した。関係者によると、支援者の1人は秋元容疑者に頼まれたと供述しているという。しかし、秋元容疑者は今回の逮捕前の取材に「関係ないのに、なんでこんなことになるのか分からない」と関与を否定した。
 一方で保釈後、この支援者と複数回食事をしている。「裁判の具体的な話はしなかった」と釈明しているが、にわかには信じ難い。
 秋元容疑者は自民党を離党したが、派閥の二階派には特別会員として在籍している。保釈後に会合に出席した際は「党に迷惑を掛けた。無罪を勝ち取りたい」とあいさつ。派閥を率いる二階俊博幹事長は「説明責任を果たし、頑張りなさい」と励ましたという。
 同志とはいえ迷惑を掛けたのだから、派閥の代表として、自らの潔白を証明するまで縁を切って裁判に集中させるのが筋だろう。甘い処遇を許した二階幹事長の責任も大きい。
 政府が観光立国の旗頭として推進してきたIR整備計画は暗礁に乗り上げている。
 秋元容疑者の一連の逮捕でイメージが悪化している上に、新型コロナウイルスの感染拡大で撤退を表明する海外のカジノ事業者も出ている。
 ただでさえ、ギャンブル依存症患者の増加や治安の悪化を懸念する声は根強い。政府はIR整備の見直しを検討するべきだ。


2020年08月22日土曜日


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