社説

部活動の地域委託/格差生じない工夫と支援を

 学校や教員に全てを任せておけばいい時代ではない、ということだろう。公立の中学、高校の部活動を地域や民間団体に委託することを柱とする改革方針を、文部科学省が取りまとめた。
 教育現場では長時間労働の解消など、働き方改革が迫られている。特に部活動は教員の大きな負担になっており、委託は解決策の一つとして期待できる。ただし、実施には注意が要る。生徒間や地域間で格差が生じることは避けなくてはならない。
 国は休日の活動から地域委託を始める予定だ。来年度に各都道府県のモデル校で実証実験をスタートし、2023年度からの段階的な導入を目指す。将来的には平日への拡大も視野に入れている。
 では、どこが受け皿となるのか。想定される一つが総合型地域スポーツクラブ。住民が主体となって運営し、複数のスポーツを楽しむ組織だ。
 宮城県にも先行例がある。栗原市の「しわひめスポーツクラブ」は、地元の志波姫中の運動部を支援する。学校による平日の活動は午後5時半で終了し、それ以降はクラブが受け持つ。地域の経験者や有資格者が野球、バレーボール、バスケット、卓球、ソフトテニス、陸上を指導している。
 民間団体が支援を担っているケースもある。岩沼市では総合体育館の指定管理者が市内4校の中学生を対象に、計9種目について週1回ずつ、部活に代わるスポーツ教室を開催している。
 問題は、こうした取り組みが全国の至る地域で可能かどうかという点だ。例えば宮城県内の総合型クラブは計52団体あるものの、全35市町村のうち11の自治体には存在しない。総合型クラブなどがある地域であっても、多様な部活動を指導できる人材を将来にわたって確保できるかどうかも課題となろう。
 吹奏楽をはじめさまざまな文化部の活動を担える芸術文化団体が、十分にあるかどうかも心配だ。
 受け皿となるクラブや団体に対する財政的な支援も欠かせない。地域主導に切り替えることで発生する費用について、国は保護者負担が適切と指摘するが、経済的な負担を理由に部活動への参加をためらう家庭や生徒が出るような事態は回避すべきだ。
 委託が休日のみとなれば、平日との指導の一貫性を確保する工夫が求められる。国は教員の休日指導も希望次第で可能とする仕組みを用意する方向だが、逆に「休日指導も当然」といった雰囲気が残るようでは本末転倒になる。
 中学の部活動を巡っては参加できる種目が減るなど、少子化の影響が顕在化して久しい。教員の負担を軽減させるとともに、子どもたちの選択肢をどう広げられるか。委託の本格的な実施までに、それぞれの地域に合った形を見いだす努力が求められる。


2020年10月29日木曜日


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