東松島市、農漁業にICT本格導入 効率化へ実証実験

ベビーリーフの収穫に精を出す「幸満つる郷KDDIエボルバ野蒜」のスタッフたち。ミニトマトへのICT導入に期待が高まる

 国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の未来都市に選ばれた東松島市で本年度、KDDIグループの最新のICT(情報通信技術)を農漁業で活用する事業が本格化する。実施中の漁業の効率化を目指す実証実験に加え、6月には障害者が働く農業施設にICTを導入してミニトマトを栽培。高齢化が著しい農漁業の生産性向上と障害者の雇用拡大を図る。

 農業施設は同市野蒜の「幸満(さちみ)つる郷(さと)KDDIエボルバ野蒜」。ビニールハウス内にカメラを設置して湿度と温度を測定し、地下の配管からミニトマトの品種特性に応じた水分と肥料を自動投入する。遮光カーテンは自動開閉する。

 同施設は2017年9月、東日本大震災の津波の浸水域にエボルバが開設した。障害者35人と管理者となる中高年者ら11人を雇用。ベビーリーフやミニトマト、雪菜などの栽培に取り組む。

 稲葉浩所長(59)は「栽培管理や収穫適期の判断は農家の経験が頼りだった。ICTで数値化することで専門外の組織が参入するチャンスになる」と強調。「安心とおいしさで選ばれる野菜を作り、障害者が特性を生かして活躍するモデルになりたい」と語る。

 全盲の視覚障害がある藤原幸恵さん(31)=同市小野=は同僚の助言を受け、手の感覚を頼りに収穫する。「色の判断はできないが、ICTが仲間と同様に効率よく働ける一助になればうれしい」と期待する。

 東松島市は、最新技術を活用して産業や環境などの分野でSDGsを推進しようと、KDDI(東京)、KDDI総合研究所(埼玉県)、KDDIエボルバ(東京)の3社と昨年11月、連携協定を結んだ。

 総合研究所は15年10月、同市浜市沖の海中2カ所にセンサーを設置し、測定した海水温に気象データを加味して漁獲量との相関性を探る実証実験に取り組む。

 研究所によると、鳴瀬川河口に位置する浜市沖は冷たい川の水の流入状況で漁獲量が左右される。データを蓄積し、気象や海水温から漁獲量を推測できれば無駄な出漁を避けられる。

 渥美巌市長は「基幹産業に最新技術を採用し、SDGsが掲げる働きがいと経済成長の両立を実現しながら、一歩でも他地域の前を行きたい」と力を込める。


2019年04月16日火曜日


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