古里に笑顔届ける一杯 女川・移動ラーメン店登場

ラーメンを振る舞う遠藤さん(右)

 ラーメンを食べながら楽しい時間を過ごしてほしい−。そんな思いで、移動販売車「あらどっこい」で女川町内を巡り、話題になっている男性がいる。同町石浜出身の遠藤憲恒さん(36)だ。県内外のラーメン店で得た知識を基に、独学で味を作り上げた。東日本大震災から前を向く古里の力になろうと、遠藤さんはきょうも思いを込めた一杯を提供する。

 メインで提供するのは、サンマとアサリをベースにしたしょうゆラーメン。スープとチャーシューにこだわり、昔ながらの味に仕上げた。魚だしのうま味が凝縮されたスープは飲み干す人も多く、好評だ。

 飲食業の経験はなかったが、休日にラーメン店を巡って店主にこつを教えてもらい、独学で作り方を習得。友人らに意見を聞きながら試作を重ねて味を追求し、7月に営業を始めた。

 移動販売にしたのは、町中心部のシーパルピア女川で多くの観光客が完結することへの複雑な思いや、町民向けの店が少ないという考えからだ。中心部から離れた地区の町民にもラーメンを届けたいと、営業は尾浦や竹浦、桐ケ崎などの地区も巡る。

 「昔は、古里に閉塞(へいそく)感を感じ、好きになれなかった。東日本大震災後、復興に向かってまい進する女川町がメディアに取り上げられるのを見て、町の意識が変わったと感じた」と言う。 「自分もだんだんと、古里を応援したくなった」。ラーメンで古里の力になると決めた。

 目標は、町民に認めてもらうことだ。「いずれ町外で営業するとき、『女川のあらどっこいです』と言えば、女川に興味を持ってもらえるかもしれない。女川の名を出すには、まず町民に受け入れてもらわないと」と表情を引き締める。

 店名の「あらどっこい」は、祖母が立つときの掛け声の「あらどっこいしょ」と、震災から立ち上がろうという意味を掛けた。「食べに来てくれた日は、お客さんにとって特別な日かもしれない。食べに行こうと考えたとき、一瞬でも楽しい気持ちになってくれたらいい」。古里とお客さんの笑顔のために、腕を振るう決意だ。

 ラーメンはあっさりが750円、こってり800円。営業場所の詳細はフェイスブックに掲載している。


2019年10月10日木曜日


先頭に戻る