石巻圏・新百景>渡波の二線堤防(石巻市)

陸と海を隔てる防潮堤。右側の盛り土は将来、木々で覆われる緑地帯に変わる
防潮堤と高盛り土でつくる二重の壁の近くには企業や住宅が立ち並ぶ

<命と生活守る二重の壁>

 海と陸を分かち、巨大な防潮堤が緩やかな曲線を描く。平行して築く盛り土は将来、木々に覆われる。二線堤防。東日本大震災を教訓に生まれた二重の壁だ。

 石巻市渡波地区の防潮堤は万石浦から旧北上川河口に向かって延びる。高さは7.2メートル。明治三陸津波(1896年)の津波高を想定して建設された。

 盛り土は2.6〜4.5メートルの高さで整備される。長さ約2キロ、8.8ヘクタールにわたって広がる緑地帯とし、襲い来る津波の勢いをそぐ役割を担う。

 渡波地区は震災時、巨大津波が直撃した。海岸に近い大宮町、長浜町、幸町、松原町の被災建物は約1300棟。ほぼ全てが全壊した。地区全体の死者・行方不明者は519人に上る。

 二線堤防の風景は、津波から命を守る復興まちづくりの象徴だ。そこには、震災で失われた、人と海の共存関係を再構築する願いが込められている。


2019年11月06日水曜日


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