葬儀受付コンテスト いしのまき農協・渡辺さん、宮城から初の優秀賞

「心に寄り添いたい」と葬儀の準備に当たる渡辺さん

 いしのまき農協の渡辺哲也さん(38)=石巻市中野=が、東北代表として初出場した「JA葬儀受付コンテスト全国大会」で優秀賞を受賞した。宮城関係者の入賞は初めて。

 渡辺さんは、東日本大震災犠牲者の葬儀も経験し「亡くなられた方を慰め、深い悲しみの遺族に寄り添いたい」との思いを胸に秘める。

 葬儀の受け付け対応の向上を図るコンテストは4回目。今年は6日に東京都中央区の綿商会館であり、全国の各ブロックを突破した代表4人が出場した。

 父親が亡くなった喪主宅で葬儀を打ち合わせる−との想定。7人の審査員が、接遇や対応能力、葬儀に関する知識などを厳しくチェックした。

 県、東北大会各最優秀賞を受けていた渡辺さんは、身内による自宅での家族葬を要望した喪主との打ち合わせで、参列者の数を割り出して駐車場確保などが難しく、農協会館での葬儀を提案。喪主の了承に結び付けた。

 遺族へのサポートをはじめ、身だしなみや所作、出棺時間の調整などに高い評価を得た渡辺さんは「緊張の連続だったが、平常心を持ち冷静に応対した。目標のトップには届かず悔しさはあるが、これからも心から遺族と向き合い続けたい」と話す。

 渡辺さんは2001年に農協職員となり自動車燃料課に配属され、震災が発生した11年に葬祭課に異動となった。「葬儀の知識がほとんどなく戸惑い、手探りだった。専門用語の習得、祭壇の備品の名称や設置の仕方を一日も早く身に付けようと懸命だった」と振り返る。

 被災地は大混乱し過酷な中で、次々とあった震災犠牲者の葬儀は簡素だった。火葬ができない遺体の仮埋葬にも立ち会った。「極限状態の遺族に寄り添うことの大切さを教えられた。知識だけでなく、遺族の心のよりどころとなるような接遇の重要性を強く感じた」という。

 いしのまき農協管内の石巻、東松島、女川の3市町をエリアに葬儀を受け付ける。地域によって風習やしきたりが違い、柔軟に臨機応変の対応が求められる。

 17年に葬祭ディレクターの資格を取得した渡辺さんは、年間35件前後の葬儀に臨む。遺族の要望があれば真夜中や早朝でも出向く。渡辺さんは「さまざまな思いをくみ、穏やかに安らかな中での葬儀を提案していきたい」と柔らかなまなざしで語った。


2019年12月22日日曜日


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