石巻圏・新百景>桃浦港(石巻市)

震災後の復旧工事で再生した桃浦港。左奥の建物は桃浦かき生産者合同会社
桃浦港の沖合に広がるカキの漁場。海流と森がもたらす豊富な栄養が良質なカキを育む

<変わらぬ海が幸を育む>

 牡鹿半島の急峻(きゅうしゅん)な山から湧く清水。親潮と黒潮の流れが生む栄養豊富な海水。豊かな環境が良質なカキを育む。

 石巻市桃浦の桃浦港は明治時代から捕鯨や遠洋漁業の基地として栄えた。今、浜の前に広がる海は「桃浦かき」の産地として知名度を上げている。

 東日本大震災直後、浜は一大騒動に巻き込まれた。水産業復興特区を巡る論争だ。沿岸漁業権を民間企業に開放する県の構想に、漁業者は激しく反発。対立が解けないまま、2013年に特区導入が決まった。適用第1号は桃浦の漁師らが設立した合同会社だった。

 桃浦一帯は壊滅的な津波被害を受けた。震災前に74世帯、185人が暮らした集落は6分の1に縮小。特区が掲げていたコミュニティー再生の道は険しい。

 海はかつての喧噪(けんそう)がうそのように穏やかにたたずむ。桃浦のカキは今日も海の恩恵を浴び、おいしさを増していく。


2020年01月15日水曜日


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