東日本大震災9年 全住家、高台に移転 日常の移動手段課題 女川

宮ケ崎地区で行われた電動補助車での移動体験=2019年9月

 女川町でも津波被害想定区域にあった全住家を地区内の高台に移転した。安全と安心の代償となったのは利便性。高台から浜への移動、街中心部への買い物や通院の足確保など、高齢者を中心に大きな課題だ。

 町は新年度、町内循環バス路線の再編を行うほか、車の共同利用事業を行う石巻市の日本カーシェアリング協会では、同町での事業展開を現在、模索中だ。

 さらに昨年9月に宮ケ崎地区で実証実験をした電動の歩行補助車の導入に向け、町は新年度も引き続き検討を進める予定だ。

 同地区は海抜40〜60メートルの高台。住民、特に高齢者にとっては街の中心部との行き来を含め、坂道の上り下りの苦労がある。

 区長の斎藤俊美さん(82)は「足腰の弱くなったお年寄りの移動には適している」とする。ただ最高時速6キロでは町中心部までは片道20分以上が必要。車がある世帯にとって、使い勝手がいいとはいえない。加えて、さまざまな安全装置があるとはいえ、高齢者が単独で運転することへの不安の声があった。

 町では「体験機会を増やしたい」と話す。地区内にある集会所と行き来するにも坂がある住宅団地は多い。「浜での散歩が日課だった」と話すお年寄りも少なくない。日常の移動手段をどうするか。

 足の確保は、世帯ごとの自家用車の利用という自助に加え、公共交通機関の充実という公助だけでなく、地区民で知恵と費用を出し合う共助も今後は大きな課題となる。


2020年03月11日水曜日


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