コロナ禍を逆手に新手法 「のぞき見演劇」が開幕 石巻

壁に空いた穴から舞台をのぞき見。穴の向こう側で演じているのは三國さん
仕切りの壁に空いた穴から芝居をのぞき見る

 観客が1人だけの「のぞき見演劇PeePingTom(ピーピングトム)」が14日、石巻市中央2丁目のキワマリ荘2階ギャラリー「jugei」で開幕。舞台と客席を仕切った壁の穴を通して5分ほどの短い芝居を観賞する趣向で、コロナ禍を逆手に取った新スタイルで上演。広さ4畳半ほどの劇場に、石巻の演劇人らの熱い思いが詰まった演劇空間が実現。訪れたファンは生の舞台に久々に触れ感激していた。7月26日まで日曜限定で、4作品を交代で上演する。

 トップを飾ったのは三國裕子さん(69)=劇団「うたたね.<ドット>」=の「忌」で、東日本大震災後の老夫婦の話。のぞき穴効果で観客は芝居の世界に吸い込まれた。三國さんと目が合う瞬間もあり、通常の劇場での観賞とはまた違うドキドキ感を体験した。

 多賀城市から見に来た会社員深谷朋子さん(57)は「生の舞台は3月以来。久しぶりにぜいたくな時間をもらった。狭い場所が広がっていく感じだった。コロナ禍の演劇形式としても興味深かった」と話した。

 事前に作品につながる物語を撮影し、動画でネット配信しているのもユニークな試み。動画と舞台の両方を見た時に初めて一つの世界が立ち上がる仕掛けで、深谷さんは「時間の流れがあり、物語の世界が膨らんだ」と感激した。

 観客の来場時間に合わせて演じた三國さんは「舞台と客席双方が見えて演じるのとは全然別物。まるで異空間だった」と興奮、地元の演劇人として関われたことを喜んだ。

 企画したのは昨年、いしのまき演劇祭実行委員会代表を務めた矢口龍太さん(37)と、演劇仲間の根田政志さん(39)=大分県=、5月に東京から石巻に移住したパフォーミングアーティストのよしだめぐみさんの3人。

 矢口さんは「反響がすごい。東京の演劇仲間も興味を持って見守っている」と語った上で、「コロナ禍でインターネット情報が欠かせないが、こういう時代だからこそリアルであることの大切さを、生の舞台を通して知ってほしかった」と強調した。

■毎週日曜上演、来月26日まで

 会期は7月26日まで。毎週日曜午後1〜5時上演。1回の上演時間は約5分。1時間当たり3回上演する予定。入場無料だが予約制。

 上演作品は「忌」「Do」「あい」「落」と題した4本。つなげると「喜怒哀楽」となる。出演は三國さん、芝原弘さん(38)=コマイぬ=ら石巻地方を代表する演劇人たち。日曜ごとに交代で出演する。

 プロジェクト名のピーピングトムは「のぞき魔」の意。予約、連絡先 https://www.r-ishinomaki.com/peepingtom


2020年06月16日火曜日


先頭に戻る