語り部、オンラインで再開 震災伝承を模索 石巻

模型を使って当時の行動を説明する高橋さん(左)

 東日本大震災の伝承活動に取り組む公益社団法人「3.11みらいサポート」(石巻市)は27日、初の試みとなる「オンライン公開語り部会」を、同市南浜町の震災伝承施設「南浜つなぐ館」で開催した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で伝承活動へのキャンセルが相次ぎ、同館の来館者も減少が続く。震災の記憶の風化が懸念される中、新しい伝承方法を模索する。

 来館者3人に加え、最大で9人がビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を活用し、リアルタイムで参加した。語り部を務めたのは、同市めぐみ野の災害公営住宅に住む高橋政樹さん(65)。震災の津波で南浜地区にあった自宅は流出し、家族と一緒に旧門脇小、日和山に避難して助かったという。

 「窓ガラスの外は、一面オレンジ色だった」 地震、津波の後に南浜地区を覆った火災は、高橋さんが避難した旧門脇小にも迫っていた。1階部分は津波で浸水していたため、2階から教壇を橋代わりにして裏手の日和山へ逃げた。

 高橋さんは震災前の門脇・南浜地区を再現した模型を使い、自宅の場所や避難したルートなどを説明。設置された2台のカメラを通して、オンライン参加者にも届けられた。

 画面上では地図やチャット機能も駆使され、オンライン参加者が高橋さんに質問する場面もあった。盛岡市の自宅から参加した吉田真一さん(50)は「現地で聞くのと比べ臨場感は多少劣るが、伝えたいことはしっかりと分かった」と感想を話した。

 スタッフの藤間千尋さん(42)は「明日にでも災害が起きるかもしれない中で、伝承を続けるためにオンラインに挑戦した。改善を重ね、オンラインでもできることを増やし、今後も継続していきたい」と語った。次回は7月下旬を予定している。

 みらいサポートは2016年5月から毎月、地域の語り部に依頼して公開語り部会を実施してきた。新型コロナウイルスの影響が出始めてからは、つなぐ館の利用者が激減。4月7日から5月10日まで休館し、語り部会も中止していた。


2020年06月30日火曜日


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