石巻・観光物産交流館にコーヒー店 「雄勝の良さ知る一杯に」

テークアウトでコーヒーを販売する鈴木さん

 石巻市の雄勝観光物産交流館「おがつ・たなこや」内に今月中旬、「ウズマキ眼鏡珈琲(コーヒー)店」がオープンする。経営する同市出身の鈴木拓也さん(35)は東日本大震災後の雄勝地区復興応援隊での活動を通じて地域に魅了され「雄勝の良さを知るきっかけになる場所をつくりたい」と新規出店を決めた。町内外の人が集う未来を思い描き、思いを込めた一杯を注ぐ。

 5月に開館した「おがつ・たなこや」。鈴木さんは開店に先駆け、テークアウト営業をしている。真新しい施設にひきたてのコーヒーの香りが広がり、観光客らが次々と足を止める。「早くもリピーターがいたんです」。鈴木さんが表情をほころばせる。

 震災当時、市内の水産加工会社に勤めていた鈴木さんは渡波地区の会社倉庫で揺れに遭った。会社の状況確認のため車を運転中に津波が来るのが見え、陸橋に逃げて助かった。自宅と会社は全壊した。

 「自分はぎりぎりで生き残った。何かしないと」。地元漁師らと地域の復旧作業に汗を流し、がれきの選別や焼却の仕事もした。

 転機は2014年。県の雄勝地区復興応援隊の求人を見て初めて雄勝を訪れた。撤去を終えたと思ったがれきが残っていた。「地域の復興に携わる仕事をしよう。雄勝でやってみたい」

 16年3月まで2年間活動した応援隊では広報紙「月刊雄勝」で「メガネに映る十五浜」を担当し、取材で地域を奔走した。住民らは「眼鏡の鈴木さん」「すーさん」と親しんでくれた。

 「雄勝の当たり前が自分には面白い話だった。たくさんの発見があり、雄勝にほれ込んだんです」。雄勝の魅力を知ってもらう拠点をつくりたい。もともとコーヒーが好きで、漠然と考えていた「カフェを開きたい」との思いが重なった。

 店名はコーヒーを抽出する際、渦を巻くように湯を注ぐことから取った「ウズマキ」と、住民が呼ぶ「眼鏡」から付けた。「雄勝は『自称ふるさと』。雄勝ファンを増やし、地元住民が古里を語り合える場所にしたい」と意気込む。

 営業は当面の間、午前11時〜午後5時。休業日は会員制交流サイト(SNS)で案内する。今月末までは毎週木、土曜が休業予定。


2020年07月09日木曜日


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