避難所リスクどう解消 感染症と自然災害、語り部らがトーク 石巻

震災当時の避難所の状況を語る、右から高橋さん、佐藤さん、山田さん

 東日本大震災の伝承活動に取り組む公益社団法人「3.11みらいサポート」(石巻市)は15日、震災の語り部らによるミニトークイベントを同市南浜町の震災伝承施設「南浜つなぐ館」で開いた。8日に同館で始まった企画展示「感染症と自然災害」に併せて開催。3人の震災語り部が実体験を交えながら、避難所が抱える感染症などのリスクについて語り合った。

 石巻震災伝承の会副代表の山田葉子さん(52)は津波で自宅が全壊し、最大で2000人が身を寄せた渡波小に家族と避難した。断水のため衣装ケースに用を足さなければならない極限状態を目の当たりにし、「災害は日常の延長線上にある。日頃の感染対策を災害時にも継続する準備が重要」と語った。

 「個人と組織の両方が災害時への備えをしなければならない」と警鐘を鳴らしたのは、当時700人が避難した旧湊二小の元教頭佐藤茂久さん(69)。学校には食料などの備蓄がなく、近くのため池の水で流していたトイレも程なく詰まってしまった。紙に用を足してもらい、袋に包んで校舎の外に置いて処置したが、感染症への不安は拭えなかったという。

 みらいサポートのスタッフ高橋正子さん(57)は、避難所で感染性胃腸炎に感染したことを告白。1200人以上が詰めかけた避難先の河北総合センターには泥だらけで寝泊まりする人々もおり「感染症のリスクを抑えるため、場合によっては自宅避難もできるよう備えるべきだ」と分散避難の必要性を説いた。

 進行を務めたみらいサポートの藤間千尋さん(42)は、コロナ禍における避難所のあり方について「社会的距離や検温などの対策が取り沙汰されているが、災害の真っただ中で実現できるのだろうか」と疑問を呈し、「一つの正解を決めるのではなく、できない場合はどうするかなどの議論を深めていく必要がある」と語った。

 トークの模様はビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使ってライブ中継もした。県内をはじめ、神奈川や広島、熊本などから計11人がオンラインで参加した。


2020年08月19日水曜日


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