慶長使節物語、復元船を背に野外劇 サン・ファン出帆記念祭で熱演

復元船を背に演じる俳優たち。最高の“舞台セット”になった
支倉常長家14代当主、支倉正隆さん(階段中央)が常長役で登場、市民もびっくり
秋の日差しを受けながら野外劇を楽しむ市民

 野外劇「黒船出航前日譚」が、石巻市渡波の県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)の館内広場ステージで行われた。劇は3日、慶長遣欧使節の帰国400年を記念した「サン・ファン・バウティスタ出帆記念祭」の出し物の一つとして行われた。

 半円形の会場はすり鉢状で、野外劇の空間そのものだった。しかも俳優たちの背後には復元船サン・ファン・バウティスタ号が係留されていた。最高のロケーションで支倉常長ら慶長遣欧使節の出航直前のドラマが繰り広げられた。

 本作は、昨年の第4回いしのまき演劇祭で上演された「和製南蛮船サンファンバウティスタとハセクラの秘密」の続編だった。前作は現代の青年が江戸時代にタイムスリップして、常長になりすましサン・ファン号の建造に関わるという話だった。続編には本物の常長が現れて…という展開。

 そこには作り手たちの熱い思いが込められていた。2021年度、老朽化で復元船は解体される。その事実を踏まえて、劇は400年以上も前に常長らがサン・ファン号で成し遂げようとした夢を、未来につなごうとする試みだった。

 劇は過去から現代に戻ってきた青年が、復元船を目の当たりにするところで終わる。400年以上の時空を超えて過去と現在は結ばれていた。青年が最後に訴えたのは慶長遣欧使節の物語を語り継いでいく大切さだった。何度も困難にぶつかりながら不屈の精神で乗り越えた支倉ら慶長遣欧使節の物語は過去の歴史ではない。東日本大震災、コロナ禍と災難が続く今にこそ生かすべき先人たちの歴史なのだ。作り手たちが劇に込めたメッセージが伝わってきた。

 作・演出を手掛けた都甲マリ子さんの下に、石巻地方を活動拠点にする四つの劇団(劇団「夢回帰船」、いしのまき市民劇団「夢まき座」、劇団「スイミーは まだ 旅の途中」、コマイぬ)が団結。劇団「夢回帰船」出航プロジェクトとして先人たちの歴史を題材にオリジナル劇を発信。石巻地方の演劇人たちの気概を見せた。

 サプライズもあった。支倉常長家14代当主、支倉正隆さんが常長役で登場、劇を盛り上げた。(久)


2020年11月22日日曜日


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