熊谷さんの短編舞台化「ラッツォクの灯」 モデルの地気仙沼で上演 「被災者の支えになりたい」

舞台「ラッツォクの灯」の一場面

 仙台市在住の直木賞作家熊谷達也さんの小説を原作にした舞台「ラッツォクの灯」が28日夜、作品のモデルの地となった気仙沼市で上演された。
 東日本大震災後、熊谷さんが描き続けている「仙河海(せんがうみ)」シリーズのうち、短編集「希望の海 仙河海叙景」(集英社)の一編を舞台化した。
 劇団「黒色綺譚(こくしょくきたん)カナリア派」を主宰し、母親が気仙沼市出身の赤澤ムックさんが脚本・演出を手掛けた。同劇団に所属し、演劇ユニット「コマイぬ」を主宰する石巻市出身の芝原弘さん(36)らが出演した。
 津波で家族や家を失い心がすさんだ、芝原さん演じる翔平が止まっていた時と向き合い、一歩を踏み出す物語だ。
 会場はカフェ「K−port」で、海に面したガラス戸を開け、外に出て演じるシーンもあり、約80人の観客は1時間半ほどの公演をじっくり鑑賞した。
 熊谷さんの小説を初めて舞台化したこの作品は昨年11月、石巻市で上演された。その後、熊谷さんが芝原さんに気仙沼での再演を提案した。
 熊谷さんは「ぜひ気仙沼で上演してもらいたかった。作品に新たな命を与えてくれた」と語った。芝原さんは「被災した方の支えになるような芝居をしていきたい」と述べた。
 熊谷さんは教諭として気仙沼中に勤務した経験があり、当時同校に在籍した市民が上演に協力した。協力者の一人で、まちづくり団体「気楽会」代表の小山裕隆さん(40)は「時間の経過とともに忘れかけていたものを思い起こさせてくれた」と感謝した。


2018年07月30日月曜日


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