陸前高田・津波被災の歴史資料2万点 山形の団体が救済に区切り

クリーニング済み新聞の目録を作るボランティアスタッフ=昨年12月、米沢女子短大

 山形県のボランティア団体「山形文化遺産防災ネットワーク(山形ネット)」は本年度、東日本大震災の津波被害に遭った文化遺産の保全活動を終える。震災直後から取り組む陸前高田市立博物館の歴史資料約2万点(推計)の作業完了に見通しがつき、今後は県内の災害に備えた活動に力を注ぐ。スタッフは「膨大な量を前に不安もあったが、終了のめどが立ちほっとしている」と話す。

 2008年発足の山形ネットは、県内の社会人や学生のボランティアが、米沢女子短大(米沢市)や東北芸術工科大(山形市)に定期的に集まり、地道な作業を進めてきた。
 託された資料は新聞や教科書、地図、図画、メモなど多岐にわたる。機械で乾燥後に手作業で泥や汚れを取り除き、内容を分類して目録を作った。これ以上傷まないよう細心の注意を払ったという。
 陸前高田市出身で、三陸海岸の植物や貝類などの研究で知られる博物学者鳥羽源蔵(1872〜1946年)にまつわる書簡や論文など貴重な資料も多い。
 ボランティアの米沢女子短大2年佐藤真紀さん(20)=米沢市=は「地域の歩みが詰まった一つ一つに緊張しながら向き合った」と振り返る。
 震災で壊滅的な被害を受けた同博物館は、新築される建物で20年度以降の再開を目指す。博物館の担当者は「携わったボランティアの皆さんの思いを大切に、戻った資料を次代にしっかり引き継ぐ」と語る。
 山形ネットの事務局スタッフ小林貴宏さん(47)=米沢市=は「得られた知見を山形県内の文化財防災に生かしたい」と先を見据える。3月ごろ、県内で終了報告会を開く予定だ。


2019年01月09日水曜日


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