震災語り部や伝承施設見学の予約取り消し9000人超 収入減、活動継続に影響

1月下旬に相馬市であった伝承活動の様子。語り部たちは大量のキャンセルに危機感を募らせている

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、岩手、宮城、福島3県で東日本大震災の伝承活動に関わる団体・個人が、9000人超の予約キャンセルを受けていることが8日、連携組織「3.11メモリアルネットワーク」(石巻市)のアンケートで分かった。3.11ネットは「収入が減り、震災10年を前に活動の継続が難しくなっている団体がある」と危機感を示す。

 アンケートは3月末現在の状況を尋ね、30の団体・個人から回答を得た。県別の回答数は岩手6、宮城19、福島3、その他2。
 語り部や伝承施設見学などのキャンセルは計9235人(302件)に上る。100人以上のキャンセルを受けたところが多く、最多は853人だった。5、6月の修学旅行シーズン、夏休み期間にまで影響は及んでいる。
 3月の伝承活動への参加者数は、前年同月比で「1割以下」となった団体・個人が10。「1〜3割」「3〜5割」と合わせ全体の76.7%に当たる23団体・個人で「5割以下」に激減した。
 それぞれの活動状況については「休止」の団体・個人が8、「規模や回数を縮小」が11で全体の約3分の2を占めた。「普段通り」は7だが、キャンセルにより実際は縮小していた。
 自由記述では、大人数の修学旅行や企業研修のキャンセル続出に伴う収入減への懸念が目立ち、「活動の存続が難しくなる」「次年度の資金繰りの再考、経費削減の検討を始めた」「来館者減で物販の売り上げが減った」など苦境を訴える声が寄せられた。
 新型コロナの終息が見通せない中、「予約受け入れの判断が難しい」「どのような体験なら実施していいのか指針が必要だ」など戸惑いも漏れた。参加者が減少し、「教訓を伝えられなくなる」との不安もあった。
 3.11ネット事務局の浅利満理子さん(32)は「震災10年以降を見据え、この1年の活動は非常に大事だ。補助金なしの自立に向け、伝承活動の事業収益を財源としてきた団体ほど厳しい」と強調。追跡調査と情報発信に力を入れる考えだ。


2020年04月09日木曜日


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