<東京検分録>復興庁延長法成立/組織刷新し真の司令塔に

 「復興の司令塔」として汗をかくべき組織が有名無実化しつつある現状に危機感を抱いた。
 復興庁の設置期限を10年延長する改正法が5日、国会で成立した。衆参両院合わせ東北の議員延べ19人が登壇した6日間の審議では、同庁が今後10年で被災地をどう再生に導くか明確なビジョンが示されず、組織の存在意義を巡って議員がいら立つ場面が散見された。
 5月21日の衆院東日本大震災復興特別委員会。国民民主党の小熊慎司氏(比例東北)は「省庁を横断する総合調整機能を期待したが、縦割りの弊害は解消されなかった」と強調した。
 今後10年の具体的な施策を尋ねた小熊氏に対し、田中和徳復興相は「ワンストップで」「旗振り役に」と抽象的な答弁に終始した。「言葉はいいが中身が伴っていない」との小熊氏のため息は、同庁の8年4カ月の歩みを的確に総括していた。
 同庁は2012年2月、他省庁より一段高い内閣直属の機関として設置された。復興事業を統括するはずだったが、予算と権限を持つ省庁が反発。実務は復興交付金の配分や被災地要望の窓口に限られてきた。
 なぜ復興庁は霞が関で存在感が薄いのか。無所属の玄葉光一郎氏(福島3区)は「復興相の位置付けが全閣僚の中で低い」と解説する。5月21日の特別委でも「誰が大臣を務めるかで、他省庁に対して力を発揮できるかどうかが決まる」と田中氏の手腕を皮肉った。
 歴代の復興相は8人中、初代の平野達男氏を除く7人が初入閣だ。玄葉氏は「閣僚経験を積み、他の省庁を引っ張る手腕がないと財務省と対峙(たいじ)した時に予算が取れないし、職員の士気も下がる」と嘆く。
 各省庁から出向し、2〜3年で古巣に復帰する復興庁の人事体制も刷新が急務だ。復興副大臣を務めた自民党の土井亨氏(宮城1区)は「『実家』の省庁を見ながら良い仕事はできない」と指摘。防災対策も担う組織への拡充を改めて議論し、専門職員の育成やノウハウ蓄積を進めるべきだ。
 今後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う税収の落ち込みで復興関連予算が縮小する懸念があり、復興庁の責任は重みを増す。過去を反省し、腰を落ち着けた組織への生まれ変わりが求められる。単なる「延命措置」では意味がない。
(東京支社・桐生薫子)


2020年06月08日月曜日


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