「ゆりあげ麦酒醸造所」本格稼働 亘理で被災、県内で再起 生産量回復

被災地で新たな一歩を踏み出したビール醸造所
宮城ゆりあげ麦酒醸造所で製造したクラフトビール

 東日本大震災の津波被害から復興まちづくりが進む名取市閖上で、クラフトビール製造販売の「宮城ゆりあげ麦酒醸造所」が完成し、本格稼働した。宮城県亘理町にあった醸造所が津波で流失し、花巻市の仮工場を経て県内での再興にこぎ着けた。
 新たな醸造所は木造平屋約900平方メートル。昨年11月、名取市閖上東地区の産業用地に整備され、1月に仕込みが始まった。年間生産能力は最大約70キロリットルで、震災前と同じ水準に戻る。工場見学も予約制で受け付ける。
 本場チェコの醸造技術者の指導を受け、爽快なのどごしの「ピルスナー」など6種類の商品を製造する。うち3種類はイチゴとブドウ、リンゴを使ったフルーツビールだ。販路に応じて「なとり美人」など3種類のラベルを用意した。
 運営するのは、震災前に亘理町でレストラン併設の醸造所「鳥の海ブルワリー」を開設していた宮城マイクロブルワリー。津波で建物や設備が流され、代表の原勉さん(80)は「やめようと思った」と振り返る。
 だが、周囲の励ましを受けて2013年1月、花巻市に仮工場を設け、醸造を再開した。年間生産能力は震災前の半分以下の約20キロリットルにとどまり、本格的な再起を期して県内で適地を探していた。
 総事業費は約1億4000万円で、うち1000万円をクラウドファンディング(CF)で集めた。今月から醸造所で直売している。
 原さんは「閖上は温暖な気候で、ビール造りには最高だ。宮城の地ビールとして復興のシンボルの一つにしたい」と話す。連絡先は宮城ゆりあげ麦酒醸造所022(385)8231。


2020年06月10日水曜日


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