石巻の海水浴場開設せず 雄勝、牡鹿地区の10年ぶり再開見送り

10年ぶりの海開きが見送られた荒浜海水浴場を見詰める高橋さん=石巻市雄勝町船越荒

 宮城県石巻市は10日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今夏は市内全5カ所の市営海水浴場を開設しないと発表した。このうち東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた雄勝、牡鹿両地区の2カ所は復興の進展に合わせ10年ぶりの海開きを目指したが、地元の意向などを踏まえ断念した。
 震災後初の再開を見送ったのは、雄勝地区の荒浜と牡鹿地区の十八成浜の2カ所。市観光課によると、両地区とも高齢者が多く、県内外からの来訪者によるクラスター(感染者集団)発生を危惧する声が寄せられていたという。
 網地島の網地白浜、白浜(北上町十三浜)、渡波の3カ所も開設しない。網地白浜は2013年7月、白浜、渡波は18年7月にそれぞれ震災後初の海開きをした。19年の開設は約1カ月間で、3カ所に計約3万5500人が訪れた。
 市は遊泳禁止などと記した看板を設けて利用を控えるよう呼び掛ける。担当者は「全国的な動向も踏まえると残念だが、開設見送りはやむを得ない」と話す。

◎地元住民、苦渋の表情 「収束後に仕切り直す」

 震災からの復興が進む石巻市の半島沿岸部で、10年ぶりの海開きがコロナ禍に見舞われた。海水浴場そばの住民は感染拡大への不安を抱えつつ、断念せざるを得なかった状況を苦渋の表情で受け止める。
 震災後初めての海開きを見送った荒浜。地元の荒地区会長、高橋照雄さん(63)は「海開きを待ってくれていた人たちもいる。夏は海水浴場で楽しんでもらいたかったのだが…」と寂しげに砂浜を見詰めた。
 荒地区には約20世帯、50人ほどが暮らすが、高齢者が多く、持病がある人もいる。国内での感染確認が増え始めた3月ごろ、地区の集まりで今夏の海開きを見送る声が出始めたという。
 5月の大型連休中には県外ナンバーの車で訪れ、水遊びを楽しむ人もいた。高橋さんは「万が一感染者が確認されたら、地区全体が大変なことになる」。住民の不安を踏まえ、海開きを見送ってほしいとの地区の意向を市側に伝えた。
 小さい頃から親しんできた砂浜は「海水が透き通り、潮の流れも穏やかで、知る人ぞ知る場所」と胸を張る高橋さん。「コロナが収束したら、仕切り直しの海開きをしたい」と話す。


2020年06月11日木曜日


先頭に戻る