岩手・住田町の木造仮設、全員退去へ 気仙杉で93戸建設

旧下有住小校庭に立つ木造の仮設住宅。最後の入居者が近く退去する=岩手県住田町下有住

 岩手県住田町が、東日本大震災で同県沿岸部の被災者向けに独自整備した木造仮設住宅の入居者が近くゼロになることが30日、分かった。最後の一人となった70代女性が陸前高田市に再建した自宅はほぼ完成。9年以上暮らした仮住まいを後にする。

 女性には30日、建築業者から自宅の鍵が渡された。当初は3月末ごろの退去を目指したが、新型コロナウイルスの影響で水回り設備の資材到着が遅れるなどしたため、工期が延びた。女性は今後、仕事の休みを利用して家財を運び込む。
 内陸部にある住田町は震災後、災害救助法に基づかず、町単独で地元の気仙杉を使った一戸建て平屋の仮設住宅を建設。後方支援として全国的に注目された。
 旧小学校校庭などを利用して町内に3団地、計93戸を用意し、2011年5月に入居が始まった。陸前高田市や大船渡市、同県大槌町などから被災者が身を寄せ、ピーク時は全戸が埋まり93世帯、261人を受け入れた。
 沿岸部の復興が進むにつれ、入居者は年々減少。町が入居期限とした今年3月末は4世帯だけとなった。
 陸前高田市の村上智子さん(82)は3月に仮設住宅を退去。同市の高台に新築した自宅に移った。「棟続きより一戸建てが良かったので住田の仮設を選んだ。高台の造成工事がこんなに長引くとは思っていなかった。長い間、本当にお世話になった」と振り返った。
 3団地のうち、戸数が最大だった中上団地で自治会長を務めた陸前高田市の柳下八七さん(69)は19年春に再建した自宅に引っ越した。「周辺住民が温かく受け入れてくれ、いつも手を差し伸べてくれた。最後の一人まで家を再建できたのはその人たちのおかげだ」と感謝した。


2020年07月01日水曜日


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