<福島第1原発事故>じじい部隊笑顔の定年 全町避難見守り6年、任務全う

現地連絡事務所の看板とともに記念撮影に応じる「じじい部隊」

 東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県大熊町で、町内のパトロールや帰還の環境再生に取り組んできた町役場OBらによる「じじい部隊」が3月31日、6年間の活動を終了した。10日に大川原、中屋敷両地区の避難指示が解除され、町役場新庁舎も開庁されることで任務を全うした。
 じじい部隊は町役場現地連絡事務所駐在の臨時職員鈴木久友さん(66)、杉内憲成さん(67)、岡田範常さん(66)、横山常光さん(66)、中島孝一さん(66)、加井孝之さん(63)の6人。原発事故当時の町幹部職員や、その同級生らだ。
 役場が会津若松市に移った後の2013年4月、町内の一部が立ち入りできるようになり、一時帰宅の町民をサポートするため鈴木さんらは常駐を志願。坂下ダム施設管理事務所内に開設された連絡事務所に避難先のいわき市や郡山市などから通った。
 仕事はさまざま。用水路の点検や清掃、草刈りをはじめ「自宅が泥棒に入られた」といった町民の困り事に対応。土日曜日も含め交代で活動してきた。
 昨年4月、大川原、中屋敷両地区で長期宿泊が可能な準備宿泊が始まると、大川原地区の土手にブルーシートで作った町民へのメッセージ「かえろう」の文字を「おかえり」に変えた。
 引退を控えた今年3月には「役場が町に戻れば後輩の職員が温かく町民を迎える」と文字を撤去。町の復興を願いダム周辺に河津桜の苗木を植え「夢見桜」と命名した。
 3月30日が最後の仕事となった。翌31日の常磐自動車道大熊インターチェンジの開通式で多くの人を町に迎えるため、雨天にもかかわらず沿道の清掃活動に励んだ。
 31日は現地連絡事務所の閉所式が現地であった。渡辺利綱町長は「皆さんの活動によって帰還への勇気と希望を頂けた」と感謝。元総務課長の鈴木さんは「この6人だからこそやり遂げられた。今後も全町帰還できる環境づくりの力になりたい」と話した。


2019年04月03日水曜日


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