福島の中3、卒業式寂しく 小学校入学直前に原発事故

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、福島県内の小中学校が卒業式の対応に苦慮している。今年卒業する中学3年生は2011年3月、小学校の入学直前に東京電力福島第1原発事故を経験した。当時は極度の混乱を強いられ、各自治体は13日の卒業式を前に「できる限りの式を準備してあげたい」と願う。
 各市町村教委によると、県内の中学校は相次いで式の規模縮小を決めた。来賓の絞り込みや在校生の欠席、内容の一部省略を予定する学校が多い。
 県教委は「現時点で中止はないが、状況が変わるかもしれない」と説明。7日に県内初の感染者が確認され、直前で再度見直しを迫られた形だ。
 県内では9年前、12市町村が原発事故の避難区域に指定された。浪江町で小学校に入るはずだった約280人は全域避難で散り散りになり、今年の中学卒業予定者はなみえ創成中の1人だけという。
 同校は在校生答辞を見送り、来賓を大幅に減らして卒業式を行う。町教委の担当者は「少しでも記憶に残る式を行いたい。学校教職員も同じ気持ちでいる」と語った。
 双葉町も9年前、双葉南小と北小の入学予定者計79人が避難先で各自、区域外就学の手続きをした。町教委は「入学式を経験できなかった子どももいると思う」と推察。町は11年8月、小中学生約360人を避難先から同県猪苗代町に集め、入学式に代えて「新1年生を祝う会」を開催した。
 当時の小学1年生7人は13日、双葉中(いわき市に避難)を卒業する。町教委の担当者は「安全第一だが、式を挙行しない選択肢はなかった。卒業証書をきちんと授与し、できる範囲で最良の場を届ける」と話した。
 原発事故直後に役場機能を会津若松市に移した大熊町は11年4月、同市で幼稚園と小中学校の合同入園入学式を行っている。町教委担当者は「事故がなければ多くの仲間と晴れの日を迎えていた。式を通常通り挙行したいが、安全を考慮せざるを得ない」とし、式典の大幅縮小を残念がった。


2020年03月10日火曜日


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