台風19号契機に自主防災組織発足 いわき・勿来酒井の災害公営住宅

自主防災会が発足した災害公営住宅と国分会長

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難者らが暮らす福島県いわき市勿来町酒井地区の災害公営住宅で、自主防災会が発足した。避難者向け住宅で初めて市の認定を受け、資機材を整える。古里を離れた入居者同士が防災減災で支え合い、周辺地域との交流にもつなげる。
 設立されたのは勿来酒井団地自主防災会。公営住宅は全町避難した福島県双葉町の町外拠点に位置付けられ、同町民を中心に約145世帯が入居する。避難前は面識がない住民がほとんどで高齢者も多く、防災減災策が課題となっていた。
 検討が加速したきっかけは昨年秋の台風19号。市内全域に避難指示が出て入居者への周知や援助の問題が表面化した。自治会は住民避難用に団地集会所を開放したが、より組織的な対応が必要と判断した。
 会長に就いた自治会長国分信一さん(69)は「災害に日頃から備える一方、緊急時に2次被害を防いで数日間をしのげる態勢が必要。行政と連携し、将来は避難所指定を目指す」と話す。
 防災会は救難救護などの役割分担を決定。市の支援を受けてテントやヘルメットなど資機材を今後そろえ、災害弱者の把握にも努める。周辺の地元行政区が毎年秋に実施する防災訓練に参加し、連携・交流しながら防災力を高める方針だ。
 地元行政区も「防災の空白地域がなくなる」と歓迎する。昨年、消防団による見回りの対象に団地を加えた。広場や集会所を備える団地が将来、地域の防災拠点になることも期待する。
 行政区でつくる勿来町酒井自治協議会会長の荒川正勝さん(64)は「日常的に互いに助け合い、安全で住み良いまちづくりにつながるといい」と語った。
 県の委託で災害公営住宅のコミュニティー形成を支援するNPO法人みんぷく(いわき市)は、防災の取り組みが団地住民の結束強化や周辺地域との関係づくりの入り口になるとみる。
 赤池孝行理事(64)は「安全安心に直結する防災は団地も地域も関心が高い。公営住宅が孤立せず、地域と協力関係を築く先行事例になる」と指摘する。


2020年04月01日水曜日


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