女川2号機仮処分審尋終了 仙台地裁「判断早く」 住民側、常識的結論望む

 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の重大事故を想定した広域避難計画に実効性がないとして、原発の半径30キロ圏内に住む石巻市民17人が、宮城県と同市に再稼働の事実上の前提となる地元同意の差し止めを求めた仮処分は、16日の仙台地裁の審尋で審理を終えた。住民側によると、地裁は判断について「状況を見て、できるだけ早く出したい」との意向を示したという。
 審尋は非公開。住民側は書面で、内閣府や県などによる女川地域原子力防災協議会が、要介護者の避難車両確保など多くの課題に対応できる根拠がないまま、計画を含む緊急時対応について「具体的、合理的」と確認したと非難した。
 住民の避難時間に関する県の試算を、同協議会が考慮しなかった点も問題視。試算を基に「最終の避難所にたどり着く住民がほとんどいないことを認識できた」と主張し「重大な事実を考慮しなかった過誤がある」と指摘した。
 審尋終了後、仙台市内で記者会見した住民側代理人の小野寺信一弁護士(仙台弁護士会)は「(裁判官は)住民がどんな気持ちで避難するのかを想像してほしい。常識的な判断を望みたい」と述べた。

◎「地元同意の認識」「計画議論の主体」 石巻市側と主張平行線

 女川原発2号機の再稼働を巡り、石巻市民有志が地元同意の差し止めを求めた仮処分の審尋で、住民側と宮城県・石巻市側の主張は最後まで平行線をたどった。住民側は広域避難計画に不備のある状況での同意により、人格権が侵害されると指摘。県・市側は住民側の論拠を打ち消す形で、同意に当たる意思表示が再稼働にもたらす影響などを否定。申し立てを却下するよう求めた。
 これまでの審尋での双方の主張は表の通り。
 住民側は「交通渋滞で30キロ圏を脱出できない」などと計画の問題点を列挙。再稼働で事故発生の確率が高まり、計画に基づき避難すれば市民が被ばくの危険にさらされるのは確実で、同意により人格権が侵されると訴えた。
 県・市側は、原発が重大事故を起こす具体的な危険性が主張されていないと指摘。「停車中の車の運転を開始すれば、事故発生の確率が格段に上がると非難するに等しい」と例え、訴えの前提を欠くと反論した。
 地元同意を巡る双方の認識の隔たりは大きい。住民側は、立地自治体の事前了解と県知事の同意が再稼働を招く行為と位置付けた。
 県・市側は、事前了解に際する確認の対象は原子炉施設と関連施設の安全性に限られ、知事の意思表示と併せ、差し止めの対象にならないとした。
 計画の是非を議論する主体についても、捉え方の相違が浮き彫りになった。
 住民側は、住民の命を災害から守るべき自治体が計画の実効性を確保すべきで、法律上の義務だと強調。県・市側は「内閣府や県などでつくる女川地域原子力防災協議会で、計画を含む緊急時の対応が具体的かつ合理的であると確認される」と主張した。


2020年06月17日水曜日


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