災害時の判断力養う 岩手県教委、教職員対象に防災研修を強化

小グループに分かれて豪雨発生時の安全確保策を話し合う教員ら

 東日本大震災の津波や2016年の台風10号豪雨を踏まえ、岩手県教委が防災研修の強化に力を入れている。より実践的な災害シミュレーションを取り入れ、教職員が子どもたちや自身の命を守るための判断力養成に重点を置いた。目指すのは、生命尊重や地域特性を子どもたちに伝えられる教育だ。
 盛岡市で7日にあった研修会には県内の小中高校や特別支援学校の教職員ら約200人が参加した。
 大雨洪水警報と土砂災害警戒情報が同時発表されたとの想定で、子どもたちを保護者に引き渡すのか学校に残すのかをグループで討論した。河川の増水、土砂崩れの恐れ、激しい降雨など刻々変化する状況を見て結論を導き出した。
 大船渡市綾里中の高橋昭英副校長は「学校現場は過去の経験や前例で物事を判断しがち。得た情報を客観的に分析して判断する大切さを実感した」と話す。
 県内の各校が備える危機管理マニュアルは、予測される災害に応じて休校や保護者への引き渡し、学校待機、避難を求めている。
 一方、震災の津波で犠牲になった幼児と児童生徒計105人は、いずれも下校や避難の途中か自宅にとどまっていたとみられる。
 研修では児童74人、教職員10人が津波の犠牲になった石巻市大川小事故の事例も取り上げた。
 指導に当たった岩手大地域防災研究センターの越野修三客員教授は、マニュアル通りに行動できる状況なのかどうかを疑ってほしいと強調。「判断に至るまでのプロセスが大事だ」と指摘した。
 県教委は03年度から教職員対象の防災研修を続けてきた。震災後は学校と地域の連携強化を重視。18年度は災害時を想定した時系列の計画「タイムライン」を教材にした。
 震災を踏まえて12年2月には「いわての復興教育プログラム」を策定し、生きる力や地域への愛着を持つ人材の育成に取り組んでいる。学校調整課は「災害に備えながら、自然の恵みや古里の良さを子どもたちに伝えられる教員を養成したい」としている。


2019年06月19日水曜日


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