気になる症状 すっきり診断(10)リスク高い飛び込み分娩

イラスト・叶  悦子

◎情報を共有母子支える/産科科長斎藤昌利特命教授

 1人の女性が一生の間に産む子どもの数(合計特殊出生率)の低下が叫ばれている昨今、妊娠・出産は女性にとって大きなライフイベントとなっています。一つの妊娠・出産を目の前に、われわれは何ができるのか、何をしてあげられるのか、東北大病院産科では一人一人に寄り添った医療を目指しています。

<妊娠週数不明も>
 妊娠初期から妊婦健診を通して必要な検査を行うことによって、今まで気付いていなかったお母さんの病気が見つかったり、おなかの赤ちゃんの異常が見つかったりすることがあります。そんな時には、出産前からどこの病院でどんなタイミングで、どんな方法で分娩(ぶんべん)していただき、どうやって新生児科や専門の先生にバトンタッチをしていけばお母さんや赤ちゃんにとって一番良いのか、そんなことを考えています。
 しかしながら、さまざまな理由で妊婦健診を受診することができなかったり、そのまま自宅で産気づいて慌てて救急車で病院に搬送されたりする方も少なからずいます。このようなケースは「未受診・飛び込み分娩」と言われ、お母さんや赤ちゃんを含めて分娩に関わるみんなが危険にさらされます。
 お母さんは妊娠中の変化や異常を放置していますし、赤ちゃんも超音波の検査を受けず妊娠週数も分からずに分娩となってしまいます。もしも赤ちゃんに心臓や肺の異常があったりしたら、分娩直後に急に具合が悪くなることもあるのです。また、運ばれた病院の産科医師や助産師も、母子がどういうリスクを持っていて、どんなアプローチをしなければいけないのかといった信頼関係を築けないまま対応を迫られます。
 タイミングを逸してしまった、同居する家族に知られたくなかった、病院を受診する交通手段がなかった、金銭的に苦しかった…さまざまな理由があると承知しています。しかし、世の中にはそういった悩みを持つお母さんや赤ちゃんをサポートするシステムがあるのです。東北大病院産科でも、そういったお母さんを1人でも多くサポートしていこうと考えています。

<他の病院と連携>
 東北大病院産科は、今まで妊婦健診を受けず妊娠週数が不明な状態で病院やクリニックに連絡・受診、あるいは行政窓口に相談に来たお母さんの情報をホットラインで一括して収集し、他の病院と連携しながら一番良い分娩方法と受診病院を迅速に提示するシステムの運用を始めました。飛び込み分娩をゼロにする、それもわれわれ大学病院の責務だと思っています。臆することなく病院やクリニックを受診してほしい、そう切に願います。


2017年07月21日金曜日


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